緩歩動物オニクマムシ類の系統進化に関する研究
オニクマムシ類の中でも特異な形態を持つ日本産未記載種を中部山岳から採集し、形態と遺伝子の解析によりオニクマムシ類の系統関係を明らかにする。
プロジェクト内容については,当該年度の活動報告書をご覧ください.
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- メンバー :
- 鈴木 忠(代表)
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- プロジェクト期間:
- 2023年度プロジェクト [ 2023年度〜2023年度 ]
目的
クマムシの仲間(緩歩動物門)は大きく異クマムシ類と真クマムシ類に分けられる。オニクマムシ類(4属)は、独特な形態的特徴と遺伝子解析の結果から、真クマムシの中でもっとも原始的なグループと考えられ、異クマムシから真クマムシへの進化過程を考えるうえで重要なグループである。このうちMilnesium属以外の3属は各1種ずつのみが記載された稀産種で、4属間の系統関係は明らかとなっていない。本研究ではMilnesium属以外の属に含まれると考えられる日本産未記載種を研究し、オニクマムシ類の系統関係をさらに明らかにする。
内容
オニクマムシ類は4属40種以上が記載されており、日本国内からはMilnesium inceptum Morek et al., 2019 およびM. pacificum Sugiura et al., 2020が新種として記載され、M. tardigradum Doyère, 1840の生息も確認されている。Milnesium属以外の3属3種はいずれも稀産種で、これらの系統関係は不明である。口管の細長い特異な形態を持ち、Milnesiumとは別属だと考えられるオニクマムシの存在が日本国内でも2001年に報告されたが、詳細な記載がされないままとなっている。本研究では、その未記載種が報告された飛騨山脈・後立山連峰にある雪倉岳(標高2,611 m)において野外調査を行い、岩などに付着するコケを採集し、そのコケ中に生息するクマムシ類の形態解析と遺伝子解析を行い、記載論文として発表する。