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ナツメボヤ科ホヤの卵透明性進化におけるマルチオミクス解析のための基盤整備

ナツメボヤ科のホヤ卵はおしなべて透明である。本研究ではこの卵の透明性進化の軌跡を追うためマルチオミクスの情報を整理し、進化的背景探索のための基盤づくりを行う。

  • メンバー :
    堀田 耕司(代表)
  • プロジェクト期間:
    2024年度プロジェクト [ 2024年度〜継続中 ]

目的

近年多くの組織透明化手法が開発されているものの、対象は固定胚に限られている。一方、透明化せずとも驚くほど透明な生物は存在する。透明な生物を透明にする機構がわかれば、生体を生きたまま透明にする技術の開発に役立つ。しかしながら、このような生物の透明さを体系的に理解するための研究はなされていない。これまでにナツメボヤ科のホヤ胚はおしなべて驚くほど透明であることを見出した(Shito et al., 2020)。ホヤ類のうちナツメボヤ科のみが透明であるということは長い進化過程においてナツメボヤ科間で透明性進化に必要な遺伝的変異は共有されているはずである。ナツメボヤ科の全ゲノム配列は申請者らによってすでに1種決定されており、他種ホヤとのゲノムワイドな比較が可能である。そこで本研究では東北以北に住むヨーロッパザラボヤおよび沖縄に生息するPhallusia nigraの全ゲノム配列、トランスクリプトーム、メタボローム等の情報を整理し、進化的背景探索のための基盤づくりを行う。

内容

これまでに90%の透過光を通す非常に透明なホヤとしてヨーロッパザラボヤを見出した(Shito et al., 2020)。18SrRNAやCO1配列を用いた系統解析から、本種の属するナツメボヤ科のホヤはすべて卵や胚は非常に透明であることから、不透明な卵をもつ祖先型の種よりなんらかの遺伝的変異によりナツメボヤ科のホヤは卵を透明にする選択がなされてきたと考えられた。これまでに本種の世界標準となる発生段階表を定義し、解剖学的特徴を記載した(Funakoshi et al., 2021)。
2024年度は、ナツメボヤ科のホヤの複数種の全ゲノム配列から遺伝子モデルを整備し、透明性進化に伴うナツメボヤ科のホヤで共通の遺伝的背景となる遺伝子セットを整理する。2025年度はナツメボヤ科複数種におけるいくつかの発生段階ごとのトランスクリプトームデータを得た後、発生段階特異的に発現する遺伝子情報の基盤整備を完了する。最終年度はメタボローム解析を行い、実際に卵の透明性に寄与する代謝経路に関わる酵素群の特定を目指す。

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