透明ホヤを用いた3Dイメージング解析およびモデル生物化の試み

顕微鏡等を用いた生物学研究に適した新規日本産ホヤ種としてザラボヤの初期発生および解剖学的情報を3Dで記載し、モデル生物としての基盤づくりを行う。

プロジェクト内容については,当該年度の活動報告書をご覧ください.

  • メンバー :
    堀田 耕司(代表)
  • プロジェクト期間:
    2021年度プロジェクト [ 2021年度〜2022年度 ]

本プロジェクトは終了しました

目的

ホヤ類は脊椎動物に最も近縁な種である一方、モザイク発生を行い、胚発生が早いことから古くから発生学の分野においてモデル生物として用いられてきた。現在、日本ではマボヤやカタユウレイボヤが用いられているものの、共焦点顕微鏡などの顕微鏡とともに近年発達してきた蛍光分子を用いた3次元(3D)イメージングによる解析を行う上ではいくつかの課題がある。1つは胚が完全に透明ではなく個体まるごと全細胞内の蛍光タンパク質を可視化することができない。そのため、全細胞の3Dイメージングには透明化の作業が必要である点、2つめは未受精卵においてmRNAの翻訳が起こらないため初期胚における分子の働きが解析しづらい点である。これまでに日本においてこのような問題をクリアできるイメージングに適した種を探索した結果、ザラボヤを見出した。本研究ではザラボヤの初期発生および解剖学的情報を3Dで記載し発生ステージ表構築、ゲノムデータベースを構築し、モデル生物としての基盤づくりを行う。

内容

ヨーロッパではイメージングに適した透明な卵をもつホヤ属としてPhallusia属が用いられている。これまでに個体まるごと全細胞内の蛍光タンパク質をリアルタイムで可視化することができる日本産ホヤを全国各地で探索し、21種のホヤを得た(前回の研究プロジェクト)。これらの透明度をハイパースペクトルカメラで計測した結果、90%の透過光を通す非常に透明なホヤとしてザラボヤを見出した。本種は1.成体ホヤの取得が日本の沿岸部サンプリングを通じて可能であること、2.胚が透明であること、3.卵の取得と受精が容易であること、4.胚発生の早い段階で外来mRNAからの翻訳が観察されること等の条件をクリアし、近年盛んであるイメージングやオプトジェネティクスの使用に耐えうる次世代モデル生物となるポテンシャルを持っている。本研究では初年度はまず、本種の世界標準となる発生段階表を定義すること、解剖学的特徴を記載した論文を公表することを目的とする。初年度以降は他ホヤとの発生学・解剖学オントロジー情報の合わせ込み、トランスクリプトームのゲノム上へのマッピング等を順次行っていくことで次世代新規有用モデル生物としての基盤を整備していく。

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