視覚障害者がスマートスピーカーの対話型デバイスを活用するための基礎研究
視覚障害者が自力でスマートスピーカーを活用するために、スクリーンリーダーによる開発環境の検証を行うとともに、音声だけでわかりやすいコンテンツ製作の視点で対話モデルの構築を行う。
目的
視覚障害者の読書は、従来の点字に翻訳された本やボランティアの手によって録音された音声図書がある.近年、これらの媒体はすべて電子データ化され、インターネットのオンライン図書館「サピエ」から入手して読書を楽しめるようになった. しかし、サピエにアクセスするには、専用の再生器「プレクストーク」(http://www.plextal k.com/jp/)や、点字PDA「ブレイルセンス」(http://www.extra.co.jp/sense/bso_u2mini.html)などを購入して使えるようになっているのが前提である. PCを使用する場合においてもスクリーンリーダーの複雑な操作をマスターしなければ読書が楽しめないことなど を考えても、視覚障害者にとってはいまだ読書はハードルが高い.
Amazonのスマートスピーカー「Echo」やGoogleの「Google Home」などの登場により、音声によって機器を操作する方式が普及してきた話しかけると応答を返すという仕組みのスマートスピーカーである.これらの機器は最初の初期設定さえできれば、後は音声で制御できるようになっており、PCやタブレットの操作に不慣れな視覚障害者にとっても有効なテクノロジーになる可能性を秘めている.
そこで、本研究では、近年普及してきたスマートスピーカーの活用を通じて、視覚障害者がスクリーンリーダーを活用して自ら開発ができるかの知見を得ること、視覚障害者に対するスマートスピーカーによる情報の提供の仕方について検証する.その上で、サピエのようなサービスをよりアクセスしやすくするシステムを構築を目指す.
内容
1.スマートスピーカー・スキル開発のための基礎調査
Amazonの「Echo」シリーズを主軸に、スマートスピーカーを音声で制御するための技術的実装を調査する.
2.視覚障害者が自力でスキル開発ができるかの検証
スキルとはAmazonのAlexaに追加できる個別の機能のことをいう.スキル(機能)を追加るすことによって、Echoのようなスマートスピーカーを用いてラジオを視聴したり家電を操作したりできる.視覚障害者が自力でスキルを開発するためのノウハウについて検証する.
3.データベースの構築
スマートスピーカーによる音声対話モデルを構築するためには、対話モデルで使用するコンテンツデータベースが必要である.コンテンツの妥当性の検証とテストを行い、音声発話で制御できる仕組みを実装する.
4.サピエシステムの応用
オンライン図書館「サピエ」をAmazonのEchoで音声コントロールできるようにすることを目指す.