生物学教育オンライン化のための試み― 生物発生・行動観察のた めのVirtual図鑑
Online Bio-Anatomy for Keio Education(OBAKE)の構築

顕微鏡を用いての観察と同様の動画像(発生過程や解剖学的特徴)が疑似体験できるVirtual図鑑を構築する。

プロジェクト内容については,当該年度の活動報告書をご覧ください.

事業概要

 生物学において生物に対する興味や好奇心は観察や生物実習などの授業を通じて得られる経験が大きく寄与する。とくに生物学実習では顕微鏡が頻繁に使われており、顕微鏡を覗くことでこれまでみたことのない生物の発生や解剖学的特徴を直に体験できるため教育的効果は非常に高い。このように生物学において顕微鏡観察は、本来の生物学教育に不可欠な実体験型の要素をもつ授業である。しかし、新型コロナウイルスの影響により、実習室やフィールドでの観察が困難な場面が生じている。このような状況は今後も続くと考えられそのような事態に即した授業内容のオンライン化が急がれている。
 そこで生物学教育のオンライン化の試みの一つとして実習等において顕微鏡を用いて観察される事象と同様の動画像をオンライン上で用意し、顕微鏡を覗き発生過程や解剖学的特徴の観察が疑似体験できるオンライン教材としての役割をもつ、Virtual図鑑(仮称:生物発生・行動観察のためのVirtual図鑑Online Bio-Anatomy for Keio Education ( OBAKE ))を構築することを本プロジェクトの目的とした。

成果・今後の展望・計画等

 本年度は以下2つのオンライン教材開発を目指した。
・EducAnatO: モデル生物ホヤの発生・解剖学データベース
・RINKAI DB: 臨海実習疑似体験オンライン教材
 現在RINKAI DBは10年以上蓄積した臨海実習の1000枚以上に及ぶ海の動物写真、古川、倉石らの提供画像を用いて構築中である。
 RINKAI DBの仕様についてはすでに完成しており、特に審査委員からも要望のあった面白い機能に関しては、単なる画像アルバムにならないようにアイデアを出し合い工夫し、それを実現するため様々な機能を盛り込んでいる。採取する動物はランダムに出現する機能、レアな動物は採取しにくい機能、知識を学ばないと次の動物を収集できない機能、なぞなぞに間違うとHPが減少し次のレベルに到達できなくなる機能や収集欲が出る採集水槽内のコレクション画面など多くのゲーム要素を盛り込んだ仕様であるため、実装にかなりの時間を要している。以上に鑑みて、OBAKE傘下としてこれら内容・機能すべてを統合し、EducAnatOと同様にRINKAI DBの完成・発表・授業での活用は次年度行うこととした。
 今年度は本事業のサポートを得て、学会発表2件、国際誌論文(査読付き)1件、およびOBAKE傘下オンライン教材EducAnatOを公開した。また、現在臨海動物オンライン教材としてRINKAI DBを開発中である。

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