科学リテラシーチェックシステムの構築と授業への活用

多様な学習背景を持つ文系学生の自然科学リテラシーをチェックする簡便なシステムを構築し、自然科学教育に活用する。

事業概要

本大学の特色ある自然科学教育をより発展させるために多様な学習背景を持つ文系学生に対し,彼らの自然科学リテラシーを画像などを交えた魅力ある問題によって簡便にチェックできるシステムを構築する。
自然科学研究教育センターの自然科学クイズページ( http://www.sci.keio.ac.jp/literacy/) には,すでに生命科学70問,化学20問,物理学10問の問題が,10問形式でセット化され,10問解答することで,知識度をはかるシステムが完成しているが,問題入カ・作成・共有のための簡便なシステムができていない。また,このシステムを利用して,一般公開問題とは別に,授業内小テスト・アンケートに利用できるような仕掛けを作ることで,授業の活性化,学生のモチベーション向上,学習効果の向上を狙う。また,記述,画像,写真に加えて,静止画では分かりづらい現象を,動画を用いて理解を深めるために動画問題への対応も図る。

成果・今後の展望・計画等

雛形に必要事項を入力するだけで,誰でも簡便に問題作成できるようなCMS(Contents Management System)形式での問題作成システムを構築した。作成された問題は,教員間で共有され,それらを自由に選んで,自分好みの問題セットを簡便に作成できるようになった。学生に授業中,本システムで作成した小テストをスマホあるいはiPadからWebにアクセスし回答してもらい,回答後すぐに自分の点数が表示されるようにした。自動集計されるので,クラス全体の平均点や各問いの正答率をグラフで即座に示すことができる。

その結果にクラスの学生達が一喜一憂し,活き活きとした講義が展開できるように なった。小テストの問題はテスト後学生と一緒に解き直し,解説をすることで,学習効果向上を行えるシステムとなっている。学期末の匿名の授業アンケートでは,この小テストのおかげで,講義の理解度が深まり,すぐに復習できることで,知識の定着ができた,との感想があった。
器具の使い方の説明や生物の動きについて動画を作成し,それらを用いて問題を解かせる動画問題を作成できるようにした。解説も動画で説明できるようにしたことで,ダイナミクスを学生に直感的に理解してもらえようになった。このような動画問題にも対応できるシステムの構築に成功した。
また学期の最初にリテラシー問題を解いてもらい,その結果から,クラスごとにど のような問題が苦手なのか,これらのことは良く知っているのかを把握できた。これ により,クラスごとに,どこを丁寧に教えるかといったきめ細かな対応が可能になっ た。
今後は,このシステムを多くの教員に利用してもらい,使いづらいところがあれば修正し,授業での小テストやアンケート,また一般公開問題の充実に繋げていきたい。本検討を通して,文系学生にとっての自然科学に対する興味を喚起し,双方向性を持たせることで,長時間行われる講義にもモチベーションをもって臨んでもらえるようにしたい。

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