自然科学研究教育センター講演会 第5回 終了
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- 日時 :
- 2010年05月13日(木)11:07
16:30~18:00
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- 会場 :
- 慶應義塾大学 来往舎 シンポジウムスペース
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- 主催 :
- 慶應義塾大学 自然科学研究教育センター
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- 講師 :
- 根上 生也 氏
横浜国立大学 教育人間科学部・教授
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- 参加費 :
- 無料 (学生の来場歓迎)
(会場準備の都合上、塾外の方は事前申し込みをお願いします)
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- 対象 :
- 学生・教職員・一般
このイベントは終了しました
講演内容
紙の上にいくつかの点を配置して、その点どうしを結ぶ線分を何本か描いて得られる素朴な図形をグラフと呼びます。そういうグラフを研究対象として展開される数学がグラフ理論です。グラフ理論は古くは電気回路や分子モデル、交通網など、物理や化学、工学に対して数学的モデルを提供していましたが、20世紀の後半になって、情報科学を支える数学の1つとして急速な発展を遂げました。グラフ理論は一般的には離散数学もしくは組合せ論の一分野とされていますが、そのルーツは一筆書き定理を記した1736年のオイラーの論文にあるとされています。その論文の中でオイラーは従来の幾何学とは異なる幾何(=位相幾何学、トポロジー)の重要性を説いています。タイトルにある「位相幾何学的グラフ理論」はそのオイラーの精神を継承する幾何学としてのグラフ理論です。たとえば、平面上の地図は4色で色分けできるかという四色問題が有名でしょう。当初はそれが位相幾何学的グラフ理論を推し進める指導原理となっていましたが、1976年に四色問題が解決して以後、新たな指導原理が求められていました。そこに現れたのが私を含む何名かの数学者たちです。曲面や空間に埋め込まれたグラフに対してどんな構造や現象を明らかにすることができるか。この講演では、私が日本における位相幾何学的グラフ理論のパイオニアとしてどんな道を拓いてきたのかをお話します。
プロフィール
日本における位相幾何学的グラフ理論のパイオニアとして研究活動を続ける一方、多くの本を執筆し、数学の啓蒙にも貢献している。2005年にはフジテレビ「ガチャガチャポン」に「数学探偵セイヤ」として登場。映画「容疑者Xの献身」、NHKスペシャル「100年の難問はなぜ解けたのか」などの監修もしている。
著書に、「離散構造」(共立出版)、「位相幾何学的グラフ理論」(横浜図書)、「第三の理 ― ハノイの塔修復秘話」(日本評論社)、「基礎数学力トレーニング」(日本評論社)、「計算しない数学」(青春出版)、「トポロジカル宇宙[完全版] ― ポアンカレ予想解決への道」(日本評論社)、「人に教えたくなる数学」(ソフトバンク出版)などがある。
→横浜国立大学 教育人間科学部 根上生也氏ホームページ
センター主催のシンポジウム・講演会について
当センターの活動の一環として、シンポジウム・講演会を年3〜4回程度開催しています。その目的は、多分野にまたがる自然科学の相互理解を深め、研究の推進と教育の質の向上を図ることにあります。参加費は無料です。特に指定のない場合、聴講の対象に制限はなく、事前申込は不要です。ただし、取材の場合は事前に許可を取って下さい。
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