自然科学研究教育センター講演会 第42回 終了
―水熱反応を利用した機能性材料の合成から廃棄物の処理・処分・有効利用まで―
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- 日時 :
- 2018年04月21日(土)13:00〜14:30
13:00~14:30
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- 会場 :
- 日吉キャンパス 来往舎 1階シンポジウムスペース
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- 主催 :
- 慶應義塾大学 自然科学研究教育センター
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- 講師 :
- 柳澤和道 氏
高知大学理工学部附属水熱化学実験所 教授
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- 参加費 :
- 無料(申込不要)
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- 対象 :
- 学生・教職員・一般
このイベントは終了しました
講演要旨
水熱反応とは,一般には100℃以上,1気圧以上の高温高圧の水が関与する反応として定義される。水熱反応の一つの例は,圧力鍋による調理である。圧力鍋を利用すると,鍋の中に圧力が発生すると同時に液体の水の温度は100℃よりも高くなり,調理時間を大幅に短縮することができる。液体の水の温度がさらに高くなると,有機物は容易に分解される。そこで,水熱反応は有害有機物や有機系廃棄物の無害化,分解に利用されている。もう一つの例は,地下深部での鉱物の生成である。地下深部にある高温高圧下の水は多量の鉱物成分を溶解でき,その水が地上に近づき温度,圧力が低下すると,溶解度が減少するために,さまざまな鉱物が析出する。この状態を研究室内で再現することにより,鉱物を人工的に合成することができる。鉱物中には工学的に有用な機能を有する物質も多数存在することから,水熱反応は機能性材料の合成にも広く利用されている。
本講演では,水晶の単結晶育成,ケイ酸カルシウム系建築材料の生産,有機系廃棄物の分解などの水熱反応の工業的な利用に加え,演者が水熱反応を利用して実施してきたセラミックス粉末の形状制御,圧力センサー用カルサイト(炭酸カルシウム)結晶育成,ガラス瓶のリサイクル技術などを解説し,水熱反応の魅力を紹介する。
プロフィール
同大学院 博士課程中退
工学博士(東京工業大学)
専門領域:水熱化学,機能性セラミックス
研究内容:水熱反応を利用した機能性セラミックスの合成と産業廃棄物の処理・処分
最近の論文:K. Takase, H. Nishizawa, A. Onda, K. Yanagisawa, Shu Yin, Synthesis and characterization of glycolate precursors to MTiO3 (M = Ni2+, Co2+, Zn2+), J. Asian Ceram. Soc., 5, 482-488 (2017)
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