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自然科学研究教育センター講演会 第39回 終了

3000 mのタイムカプセル ―極地の氷が語る地球環境の過去と未来―
2017.07.04
  • 日時 :
    2017年07月04日(火)17:30
    16:30~18:00
  • 会場 :
    日吉キャンパス 来往舎1階シンポジウムスペース
  • 主催 :
    慶應義塾大学 自然科学研究教育センター
  • 講師 :
    川村 賢二 氏
    国立極地研究所准教授
  • 参加費 :
    無料(申込不要)
  • 対象 :
    学生・教職員・一般

このイベントは終了しました

講演要旨

 南極大陸やグリーンランドは、厚さ3 kmを超える氷で覆われている。絶え間なく降り積もる雪が自らの重みで圧縮し、過去の大気を気泡として取り込みながら氷の塊へと変化したものである。これを垂直に掘り出した柱状の氷は氷床コアと呼ばれ、何十万年もの地球の気候変動や大気組成を保存したタイムカプセルである。日本が南極内陸のドームふじ基地で掘削した長さ3kmにおよぶ氷床コアや、国際プロジェクトとして実施されてきたグリーンランドの氷床コアの分析結果から何が分かってきたのか。
 過去100万年ほどの間、地球の気候は約10万年の周期で氷期と間氷期という大きな変動サイクルを繰り返してきた。氷期の最寒期には、カナダ全土とアメリカ北部、ヨーロッパ北部や西シベリア北部を厚さ3 kmにもおよぶ氷が埋め尽くしていた。海面は現在より130 m低く、南極の気温は約9℃低かった。また、氷期の間には、100年以内に気温が10℃以上も上昇するような急激な気候変動が北半球で頻発していた。
 氷床コアを調べることで過去の気温が分かる。また、閉じ込められている空気の分析からは、過去の大気中の二酸化炭素やメタンの濃度が分かる。氷期から間氷期へ移り変わる時代を詳しく調べてみると、意外なことが分かった。北半球高緯度の夏の日射が強くなるのに合わせて、南極が温暖化し、大気の二酸化炭素濃度が上昇していた。氷期に北半球で起こっていた急激な気候変動の原因は、実は南極の寒冷化だったことも分かってきた。本講演では、氷床コアの分析から何が分かり、地球環境の将来を考える上でどのような意味を持つのかを分かりやすく紹介する。

プロフィール

川村 賢二 氏
川村 賢二 氏
国立極地研究所准教授
1994年東北大学理学部卒業、2001年同大学大学院理学研究科地球物理学専攻博士課程修了。第1期ドームふじ氷床コアの気体解析による過去34万年間の大気組成と表層環境変動の復元などの研究で博士(理学)。スイスのベルン大学やアメリカのスクリップス海洋学研究所での研究員などを経て、2007年極地研究所助教、11年より現職。南極やグリーンランドで掘削された氷を分析することで、過去の気候や大気組成の変動を復元し、そのメカニズムの解明を目的に研究を進めている。著書(分担執筆)に「低温環境の科学事典」(朝倉書店、2016年)、「極地研ライブラリー アイスコア ~地球環境のタイムカプセル~」(成山堂書店、2011年)ほか。

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当センターの活動の一環として、シンポジウム・講演会を年3〜4回程度開催しています。その目的は、多分野にまたがる自然科学の相互理解を深め、研究の推進と教育の質の向上を図ることにあります。参加費は無料です。特に指定のない場合、聴講の対象に制限はなく、事前申込は不要です。ただし、取材の場合は事前に許可を取って下さい。

天災・交通事情など予期せぬ事態により変更・中止となる場合がございます。
その場合、本ウェブサイトで告知しますので、事前にご確認下さい。

問合せ先:慶應義塾大学 自然科学研究教育センター 事務局 (日吉キャンパス来往舎内)
〒223-8521 横浜市港北区日吉 4-1-1
Tel: 045-566-1111(直通) 045-563-1111(代表) 内線 33016
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