自然科学研究教育センター講演会 第9回 終了
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- 日時 :
- 2010年12月03日(金)18:50
18:15~19:45
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- 会場 :
- 慶應義塾大学 来往舎 シンポジウムスペース
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- 主催 :
- 慶應義塾大学 自然科学研究教育センター
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- 講師 :
- 三浦 佳世 氏
九州大学大学院 人間環境学研究院・教授
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- 参加費 :
- 無料 (学生の来場歓迎)
(会場準備の都合上、塾外の方は事前申し込みをお願いします)
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- 対象 :
- 学生・教職員・一般
このイベントは終了しました
講演内容
浮世絵の美人画では、いわゆる斜視や引目など、視線方向を曖昧にした表現によって、人物の魅力が引き出されている。浮世絵ではまた、登場人物の視線がしばしば同じ方向に向けられ、心の通い合う構図として受けとめられている。小津安二郎の映画でも見慣れたこうした視線の構図は、西洋の絵画ではきわめて稀で、二人の女性が並ぶカルパッチョの「コルティジャーネ」では、登場人物に対し、散々の指摘が行われてきた。視線のあり方は文化にも関係するようである。
視線は見る者の注意を反射的に引き、視力を越える精度で高速にその方向が読み取られ、対象との関係性が解釈され、感情が誘発される特徴をもつ。浮世絵を用いて、さまざまな視線方向の画像を作成し、人物の印象を評価させた実験でも、驚くほど鋭敏な感性判断が無自覚的に行われることが分かった。曖昧な情報に基づき、瞬時に鋭い判断が下される点は感性判断と共通する。
見ることと感じることは分けがたい形で、ひとつの意識として現れてくる。知覚と感性は、共通する性質をもちながら、それぞれ独自の特徴をもつ。感性認知学は心の働きとしての感性を実証的に考える学問である。知覚・認知特性を基盤に感性について考える学問でもあり、感じることを通して知覚や認知について考える学問でもある。生理学的基盤(Vision)から社会文化的要因(Visuality)までを視野に入れて、多層的な観点から心の理解をめざす感性認知学を、美に関わる例も引きながら紹介する。
プロフィール
→九州大学 人間環境学府 三浦研究室
センター主催のシンポジウム・講演会について
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