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2014.09.272014年自然科学研究教育センター・シンポジウム 終了

日時 2014年09月27日 ( 土 )  13:00–17:00
会場 日吉キャンパス 来往舎 1 階シンポジウムスペース
主催 慶應義塾大学 自然科学研究教育センター
内容 一般相対性理論白寿記念シンポジウム
〜宇宙はどこまでわかったのか?〜
講師 矢野 創 氏 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 学際科学研究系 助教 慶應義塾大学大学院 システム・デザインマネジメント研究科 特別招聘准教授
三好 真 氏 国立天文台 電波研究部 助教
安東 正樹 氏 東京大学大学院 理学系研究科 物理学専攻 准教授
佐藤 勝彦 氏 大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 機構長
参加費 無料 (学生・塾外の方来場歓迎、事前申込不要)
対象 学生・教職員・一般

このイベントは終了しました。

プログラム

13:00 開会挨拶  長谷山 彰(教育担当常任理事、・文学部教授)

13:15 講演1.『いま,ここにいる私たち:惑星系と地球生命の現在』
矢野 創 氏(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 学際科学研究系 助教慶應義塾大学大学院 システム・デザインマネジメント研究科 特別招聘准教授)

14:05 講演2.『ブラックホールを見る天文学・相対論を検証する天文学』
三好 真 氏(国立天文台 電波研究部 助教)

(休憩20分)

15:10 講演3.『アインシュタインの宿題と重力波で探る宇宙』
安東 正樹 氏(東京大学大学院 理学系研究科 物理学専攻 准教授)

16:00 講演4. 『宇宙開闢のシナリオ インフレーション理論:観測的実証への期待』
佐藤 勝彦 氏(大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 機構長)

16:50 閉会挨拶   小林 宏充 所長(センター所長、・法学部教授 物理学)

講演要旨

『いま、ここにいる私たち:惑星系と地球生命の現在』(矢野 創)
私たちの宇宙が持つ時間の長さを横軸、空間の広がりを縦軸に採ると、太陽系科学の「守備範囲」は、20年前までは横軸で46億年、縦軸で1光年に満たない原点近くの小さな領域に留まっていた。いわば「いま」「ここ」にいる私たちの来し方を整理する「近代史研究」のような学問だった。
20世紀終盤から、太陽系以外の恒星の周りに惑星が発見され始めた。同じ頃、隕石や宇宙塵と、それらの母天体である彗星や小惑星から持ち帰られた試料の中にも海水や生命の原材料が発見され、深海底には地表と異なる生態系が発見された。これらの新事実を繋ぐことで私たちは、太陽系以外の惑星系や地球生命以外の生命について、科学的に検証できる初めての世代となった。現在は、深海底から深宇宙まで様々な探査機を送り出し、惑星系と生命の普遍性と特殊性を探求し始めた段階である。
地球上で発見、整理された物理法則や化学反応は、この宇宙のどこでも通用するという事実に立脚した「宇宙物理学」や「宇宙化学」というパラダイムが、従来の天文学や太陽系科学を駆動してきた。近い将来、惑星系と生命について太陽系と地球生命を超えて科学的に整理できる時代になれば、「宇宙生物学」という第三のパラダイムが、太陽系科学を「惑星系科学」に脱皮させる可能性がある。その風景は、古典力学からの量子的飛躍を可能にした相対性理論が登場した90年前の物理学に似ているのかも知れない。

『ブラックホールを見る天文学・相対論を検証する天文学』(三好 真 氏)
ブラックホールが宇宙に存在する天体であることは、21世紀の今、疑うひとはあまりいません。 特に天文学者はそう考えています。 ところがブラックホールや、その基礎である一般相対論の専門家はまだまだ、ブラックホールの存在 を疑っています。 なぜなら、これまでの天文観測による、ブラックホール存在の”観測的証拠”は間接的なものにすぎ ないからです。 観測から判っていることは「何かとても質量の大きな天体が、非常にコンパクトな空間の中にある」 ということ、 そして「ブラックホールがあると考えると、とてもうまく説明できる天文現象がたくさん見つかって いる」という二つのことです。 これらでは、「まだまだ決定的なブラックホール存在の証拠だとは言えない」、と専門家は言うので す。
 そこで、ブラックホールの姿を直接撮像してしまえば、専門家も納得するだろうと考え、ブラック ホールのそばの様子を見ることが できる望遠鏡を作ろうと考えています。 そして、ブラックホ一ルの周りの“時空構造"についての情報を手に入れ,ブラックホールや一般相対 論について天体写真をもとに、 詳しく研究できるようにしたいと考えています。
 私は天文の観測家ですが、ブラックホール・一般相対論の理論家と一緒に、「ブラックホールの周 りを観測する新しい方法はないか」と議論を進めています。そこで考案した新しい方法についてもお 話しします。

『アインシュタインの宿題と重力波で探る宇宙』(安東 正樹 氏)
アインシュタインが一般相対性理論を発表してから約100年が経ち、様々 な実験的検証によってこの理論が正しいことは示されている。さらに、今 や身近な道具にもなっているGPSでは、相対論に基づく補正が不可欠になっ ている。その一方で、相対論には未だ残された大きな課題、アインシュタ インの宿題と言えるもの、がある。それが重力波の直接検出である。
 重力波は、一般相対性理論の帰結の1つとしてアインシュタイン自身に よって理論的に予言された。相対論では、重力は時空の歪みとして解釈さ れる。この歪みの変動が波として空間を伝搬していくものが重力波である。 重力波が存在することには、連星パルサーの軌道変化を電波観測すること で間接的に証明されているが、その直接検出は未だなされていない。しか し現在、国内では大型重力波望遠鏡KAGRA(かぐら)の建設が進められており、 重力波の直接検出が間もなく実現されることが期待されている。
 重力波を直接観測することの意義は、アインシュタインの宿題を提出す るだけにとどまらない。重力波は、非常に強い透過力をもつ。このことか ら、連星合体や超新星爆発などの極限天体現象の中心部やブラックホール に関連する現象、宇宙が誕生した直後の姿など、これまでの電磁波による 観測では得られない新しい宇宙像をもたらしてくれることが期待できる。 本講演では、重力波とそれを用いた新しい天文学の可能性を紹介する。

『宇宙開闢のシナリオ インフレーション理論:観測的実証への期待』(佐藤 勝彦 氏)
「宇宙は誕生直後、急激な膨張をおこし、それが終了するとき宇宙は加熱され火の玉宇宙となった。またこの加速的宇宙膨張時の量子的揺らぎが空間的に大きく引き伸ばされることによって、後に超銀河団、銀河団などに成長する”種”、密度揺らぎが創られた。」今日このシナリオはインフレーション理論とよばれ宇宙論の標準的理論となっている。近年、光電素子、人工衛星、大量データ処理を可能とするコンピュータの進歩により宇宙論的観測が進み、インフレーション理論を支持する結果が多く出て来るようになった。宇宙では、光など電磁波の伝わる速さも有限であるので、遠方を見ることは昔の宇宙を観測することである。米国、NASAの宇宙背景放射の観測衛星、COBEは宇宙が始まって38万年しか経ってない宇宙を観測し、そこにはインフレーション理論の予言する,密度揺らぎ、つまり宇宙構造の種が描き出されていた。COBEの後継機、WMAP衛星はさらに精密に測定し、COBEの発見を裏付けると共に宇宙の年齢も138億年と求めた。さらにこの3月、南極点近くに設置されたマイクロ波電波望遠鏡、BICEP2がインフレーションの時に発生した重力波を間接的に発見したと発表した。間接的ではなく重力波で直接インフレーションのおこった宇宙初期をみる観測も計画されている。この講演ではインフレーション理論の歴史を振り返りながら最近の観測の進展も紹介したい。

プロフィール

矢野 創 氏
宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 学際科学研究系 助教 慶應義塾大学大学院 システム・デザインマネジメント研究科 特別招聘准教授

三好 真 氏
国立天文台 電波研究部 助教
1962年愛媛県松山市生まれ。愛光高校卒、東京大学大学院理学系研究科天文学専攻。
国立天文台・電波研究部、博士(理学)。
1993年、VLBI(超長基線電波干渉計)によるSiOメーザの観測研究で学位を得た。 もともと、物理と数学が一番にがてなので、ブラックホ-ルのような秀才の集まるテーマは避けて、 地道な天文学をやりたかったが、いつの間にか関わることになって、ブラックホールの解像的観測の 研究を始めた。「はやぶさ(MUSES-C)」のようなわくわくする観測プロジェクトに是非していきたい。

安東 正樹 氏
東京大学大学院 理学系研究科 物理学専攻 准教授
・学歴
1994年京都大学理学部物理学教室卒業。
1999年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程終了。 1999年日本学術振興会特別研究員、東京大学大学院理学系研究科助手, 2007年より助教.
2009年京都大学大学院理学研究科特定准教授。
2012年国立天文台光赤外研究科准教授
2013年より現職。

・専門分野
重力波天文学, 相対論実験

・研究内容
時空のひずみが波として伝わる「重力波」を用いて宇宙を観測し、宇宙の 始まりや物質の起源に迫ることを目指した「重力波天文学」の創成に向け て、重力波望遠鏡の開発や取得されたデータの解析を進める。

佐藤 勝彦 氏
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 機構長
香川県坂出市出身。1968年京都大学理学部物理学科卒業。1974年京都大学大学院理学研究科博士課程修了(理学博士)。1982年東京大学理学部助教授、1990年同大学大学院理学系研究科教授。1999年同研究科付属ビッグバン宇宙国際研究センター長。2001年同研究科長・理学部長。2009年定年退官。同年、同大学名誉教授。2013年日本学士院会員。2014年現在、大学共同利用機関法人自然科学研究機構長。 第5回井上学術賞、第36回仁科記念賞、紫綬褒章、日本学士院賞などを受賞。 主な著書は『インフレーション宇宙論』(講談社ブルーバックス、2010年), 『一般相対性理論』(岩波書店,1996 )など。


センター主催のシンポジウム・講演会について

当センターの活動の一環として、シンポジウム・講演会を年3〜4回程度開催しています。その目的は、多分野にまたがる自然科学の相互理解を深め、研究の推進と教育の質の向上を図ることにあります。参加費は無料です。聴講の対象も制限はありません。特に指定のない場合、事前申込は不要です。ただし、取材の場合は事前に許可を取って下さい。

天災・交通事情など予期せぬ事態により変更・中止となる場合がございます。
その場合、本ウェブサイトで告知しますので、事前にご確認下さい。


問合せ先:慶應義塾大学 自然科学研究教育センター 事務局 (日吉キャンパス来往舎内)
〒223-8521 横浜市港北区日吉 4-1-1
Tel: 045-566-1111(直通) 045-563-1111(代表) 内線 33016
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