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自然科学研究教育センター若手研究者賞

若手研究者賞制度の概要

慶應義塾大学自然科学研究教育センターでは、センターに所属する若手研究者の研究成果を表彰する「慶應義塾大学自然科学研究教育センター若手研究者賞」を創設しました。
受賞候補者は、現または元センター構成員(研究員・共同研究員・訪問学者・研修生を含む)であることとし、 審査の対象論文は、出版済みないしは採択済みの査読付き国際誌に掲載の論文1点とします。

今年度の受賞者

Scientific Reports (2022) 12:14577 に掲載の“The first assimilation of Akatsuki single-layer winds and its validation with Venusian atmospheric waves excited by solar heating” 筆頭著者:藤澤 由貴子氏(慶應義塾大学 自然科学研究教育センター 研究員)に2023年度慶應義塾大学自然科学研究教育センター若手研究者賞を授与する。

– 受賞理由
本論文は,海洋研究開発機構のスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を用いた金星大気に対するデータ同化システムに,宇宙航空研究開発機構(JAXA)の金星探査機「あかつき」から得られる観測データを加えることで,世界で初めて金星大気の客観解析データを得ることに成功したことを報告したものである。報告された成果の重要性に加え,受賞者が,筆頭著者として研究に主要な貢献を行ったこと,および責任著者として研究組織を牽引したことが高く評価された。

受賞コメント

このたびは、今年度から創設された若手研究者賞を頂くこととなり、大変嬉しく光栄に思います。本研究は、金星大気における観測研究と数値シミュレーション研究における双方の知見を共有することで成し遂げられるものです。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の金星探査機「あかつき」や海洋研究開発機構のスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」に関わる方々をはじめとするたくさんの研究者の協力によって、本成果が得られました。これまでに積み重ねられてきた研究に関わる方々のご尽力に支えられ、本研究に従事できていることを誇りに思います。本研究の客観解析データが、金星大気の運動を解明する新たな糸口となることを期待しています。所属する自然科学研究教育センターでは、多様な分野の研究者が受け入れられる土壌にある中で、世界で初めての取り組みに挑戦することができました。恵まれた研究環境に感謝するとともに、これからも新しい研究を生み出すべく、より一層の努力を続けていきます。

論文概要

海洋研究開発機構のスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を用いた金星大気に対するデータ同化システムに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の金星探査機「あかつき」から得られる観測データを加えることで、世界で初めての金星大気の客観解析データを作成することに成功した。金星は厚い雲層によって空全体を覆われており、内部の大気の運動についてはほとんどわかっていない。時間と空間が限られた衛星観測のみでは、その全体像を把握することは難しい。また、大気大循環モデルを用いた大気運動の数値シミュレーションも試みられているが、金星大気の運動を正確には再現できていない。今回の研究では、地球の気象予報や気象学研究で用いられているデータ同化手法を金星の大気大循環モデルに導入し、「あかつき」の紫外線イメージャー(UVI)から得られる高解像度かつ高頻度の水平風速の観測データを取り込むことで、風速・温度・気圧場を含む金星大気の全球にわたる客観解析データを作成することに成功した。数値モデルの不確実性と観測データの間欠性とを補い合う今回の研究成果は、観測データと数値モデルの両方を最大限に活用でき、金星大気の運動を解明する新たな糸口となることが期待される。

論文へのリンク
https://doi.org/10.1038/s41598-022-18634-6

慶應義塾大学プレスリリース
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2022/9/2/28-131747/

慶應義塾大学 英文レター The Penmark 11月号
「Keio-JAXA Collaboration Produces First Meteorological Data Set of Venus’s Atmosphere」
https://mailchi.mp/global/the-penmark-november-6170339?e=dab315f4f7

慶應義塾大学 広報誌「塾」No.317 FRONTIER 
「世界で初めての金星気象データセットの作成」
https://www.keio.ac.jp/ja/about/learn-more/publications/juku/317.html

歴代の受賞者

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