ヒトデの免疫細胞における神経細胞様情報伝達機構の解析
イトマキヒトデ成体の免疫細胞である体腔細胞が、神経細胞様の情報伝達機構を備えている可能性を探る。
目的
イトマキヒトデの成体は広大な体腔を有しており、その体腔を満たす体腔液には体腔細胞と呼ばれる免疫細胞
が含まれている。我々は先行研究において、体腔細胞が我々ヒトの血小板に良く似た無核の細胞断片を形成し、
免疫応答や創傷治癒といった生体防御機構において重要な役割を果たしていることを明らかにした(Minakata et
al., 2025)。驚くべきことに、予備的なプロテオーム解析から、この血小板様の無核断片が神経細胞様の特性を
備えている可能性が浮かび上がってきた。本研究では、体腔細胞及び血小板様の無核断片が、神経細胞様のシ
グナル伝達機構を用いて、個体の恒常性を維持している可能性を探る。
内容
ヒトデ体腔細胞由来の無核細胞断片が、神経細胞に類似したシグナル伝達機構を用いて、免疫細胞間のコミュ
ニケーションを媒介していることを明らかにする。予備的なプロテオーム解析から、無核断片は、神経ネット
ワークにおけるシナプス構造の組織化や、セロトニン、ドーパミン、GABA といった神経伝達物質によるシグ
ナル伝達など、神経機能を特徴づける機能アノテーションで特徴づけられた。そこで、体腔細胞や無核断片が
実際に神経伝達物質を細胞内に備えているかを、神経伝達物質関連の抗体を用いた免疫染色によって検証する。
また、体腔細胞および無核断片が、プロテオーム解析で示唆されたシナプス関連遺伝子や神経伝達物質の受容
体を発現しているかも調べる。さらに、免疫刺激に応じて、これらの神経伝達物質の含有量や、シナプス関連
遺伝子の発現量が変化するかなども調べる。