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2022年自然科学研究教育センター・シンポジウム

顔の科学最前線
2022.09.09
  • 日時 :
    2022年11月12日(土)13:00〜17:30
    13:00~17:30
  • 会場 :
    日吉キャンパス 第4校舎B棟 J11番教室
  • 主催 :
    慶應義塾大学 自然科学研究教育センター
  • 講師 :
    三枝千尋 氏
    花王株式会社 感覚科学研究所

    王 牧芸 氏
    東京大学 定量生命科学研究所 研究員

    高橋康介 氏
    立命館大学 総合心理学部 教授

    今岡 仁 氏
    NECフェロー/AI・アナリティクス事業統括部長

    河野礼子
    慶應義塾大学 文学部 教授・センター副所長
  • 参加費 :
    無料(申込不要)
  • 対象 :
    一般・学生・教職員

プログラム

13:00-13:10 開会挨拶 岡田英史(本塾常任理事)

13:10-13:50 講演1. 『顔と魅力-認知心理学分野における研究のご紹介-』
三枝千尋 氏(花王株式会社 感覚科学研究所)

13:50-14:30 講演2. 『顔認識と社会性記憶という「概念」を表象する神経メカニズム』
王 牧芸 氏(東京大学 定量生命科学研究所 研究員)

(休憩 15分)

14:45-15:25 講演3. 『フィールド実験から顔認知の多様性を知る』
高橋康介 氏(立命館大学 総合心理学部 教授)

15:25-16:05 講演4. 『顔認証の技術と社会実装の最前線』
今岡 仁 氏(NECフェロー/AI・アナリティクス事業統括部長)

(休憩 10分)

16:15-16:55 講演5. 『骨から「顔」を考える』
河野礼子(慶應義塾大学 文学部 教授・センター副所長)

16:55-17:25 総合質疑討論

17:25-17:30 閉会挨拶 井奥洪二(センター所長・経済学部教授)

講演要旨

『顔と魅力-認知心理学分野における研究のご紹介-』(三枝千尋 氏)

私たちは相手の顔から様々な情報を読み取っています。
その一つである魅力は、人とすれ違う一瞬の間にも感じとることが できます。相手の顔が網膜に映るごくわずかな時間のうちに、どの ように情報を抽出し、魅力を感じているのでしょうか?
実験心理学の手法を用いた一連の研究から、魅力の知覚は無意識の うちに一意に決定されるような静的なものではなく、 時間と共に魅力を構成する各要素の寄与が変化すること、そして顔 から読み取ることのできる対人的な手がかりがその情報統合に関与 するダイナミックなプロセスであることが示唆されました。 さらに、見る人によっても魅力を感じる要素は異なり、多様な魅力 の捉えられ方があることも示されてきています。
本発表では顔と魅力に関する心理学分野での知見を概観した上で、 演者らのこれまでの研究を紹介し、魅力を感じるプロセスについて 議論します。

『顔認識と社会性記憶という「概念」を表象する神経メカニズム』(王 牧芸 氏)

Faces are special. We are attracted to faces soon after birth, and we can remember a lot more faces compare to other objects (for example cars and watches). Recognizing faces is special. We process faces as whole (holistic face processing), not only as parts such as eyes, nose and mouth. For example, we can discriminate faces a lot better when the faces are upright but not upside-down. This is because face-specific pathway is interrupted when the face is inverted. Specific brain regions respond to faces but no other objects. The developmental process for face recognition is also special. Without access to faces since birth, the holistic face processing is interrupted and unable to recover even with tremendous experience of faces after growth. This suggests that there may be a critical period during development which is important for face-specific processing. Another special phenomenon during development of face recognition is related to other race discrimination. One may have experienced that it is easier to discriminate faces from our own race. But for infants, discriminating faces from different races or even monkey faces is no different from the faces of their own race. But after growth, our face discrimination ability is limited by the faces we experienced. This is called perceptual narrowing and is found in language learning and face recognition. It is impossible to expose infants to faces of a certain race, so we develop an animal model to study the development process of face recognition.
After recognizing a face, a group of cells from the Medium Temporal Lobe is activated, which represents the abstract concept of that person. The group of neurons respond not only to the face but also the voice or the name of the individual, indicates the invariant response to different representation of an individual. Additional information can later be added to those concept neurons, for example whether you like the individual or not. Understanding how we encode the concept of our group members can enhance the understanding of how we interact with group members.

『フィールド実験から顔認知の多様性を知る』(高橋康介 氏)

顔の認知が人々の社会的活動を支える重要な認知機能であることは言うまでもありません。多くの人は顔を見ることに過度に習熟しており、誰もが自分と同じような仕方で他者の顔を認識していると感じているかもしれません。Other race effectなどに代表される顔の親近性効果を除けば、顔認知に関する諸現象、例えば倒立効果(サッチャー錯視)、整列効果(キメラ顔)、魅力規定因などについて観察者の地理的文化的背景の影響が取り上げられることは稀です。一方で表情の表出と認識については文化的差異について見解が分かれています。私たちの研究チームではこのような顔認知の普遍性を検証するため世界各地のフィールドで顔認知に関する実験を行ってきました。絵文字の表情認知、モノやノイズ的パターンが顔に見えるパレイドリア現象、顔の描画などの一連の研究を通して、私たちが想像していた以上に多様な顔認知過程の一端が示されつつあります。本講演では私たちが取り組んできた顔認知の多様性に関する研究成果を紹介するとともに、フィールド実験という認知研究の可能性について議論したいと思います。

『顔認証の技術と社会実装の最前線』(今岡 仁 氏)

ウィズ・コロナの世界情勢において、私たちの生活様式は大きく変 貌しました。中でも、非接触社会への移行のスピードは目覚ましく 、開錠、決済、パネル操作など、様々なものがタッチレスで行える ようになりつつあります。そのような情勢の中で、『顔認証』は大 きな注目を集めております。
顔認証に係る歴史を紐解くと、その歴史は社会のニーズによって形 成されました。顔認証の需要が高まるきっかけとなったのは200 1年のアメリカ同時多発テロといわれています。かつてはテロを始 めとした重大犯罪の裏にパスポートの偽変造や成りすましによる不 正使用が増加し、国際的な組織犯罪や不正な出入国に利用されてい た歴史があります。このような背景から、より偽変造が困難で、安 全性の高いパスポートとして生体認証パスポート導入が求められ、 顔画像を電磁的に記録するIC旅券化が世界各国で加速しました。 多くの研究者が歳月を重ねた結果、今では加齢による経年変化、照 明変動、眼鏡といった付帯物があっても高精度かつ高速な認証が可 能となり、マスク着用状態での判別ができるようになりました。 また、顔認証×虹彩などマルチモーダル認証を活用する事で、より 安全に、より便利な認証を可能にする取り組みも進んでおります。
このような歴史に基づき、本講演では、顔認証の現在地とその社会 実装の事例についてお話いたします。安全安心かつ利便性の高い社 会作りに寄与する顔認証技術の世界を、 皆さんと見て参りましょう。

『骨から「顔」を考える』(河野礼子)

自然人類学の研究対象となるのはもっぱら骨である。縄文時代人はソース顔で弥生時代人は醤油顔、などと言うが、縄文人や弥生人の実際の顔を見た者がどこかにいるわけではなく、あくまで頭骨の形状に基づいた推測である。人類学者は熟練してくると、頭骨を見ただけで「この頭骨の主は生前さぞ美男(美女)だったろう」などと言うようになるが、普通は頭骨だけ見せられてもピンと来ないだろう。生前の顔は、骨の表面が筋肉や皮膚、毛髪などの軟部組織で覆われている。これを再現することによって骨から生前の顔貌を推測する手法が「復顔」であり、法医学の分野でも犯罪捜査などに利用されることがある。復顔の工程は大きく2つに分けられる。まずは骨の表面に肉付けする工程で、顔に分布する筋肉の走行や、軟部組織が平均的にどの程度の厚さであるか、といった解剖学的なデータを参考に、頭骨表面に粘土などを貼り付けていく。次は、肉付けされた顔の表面の仕上げである。皮膚や眼球、口唇、毛髪などの色や性情は顔の印象を大きく変え得るため、この工程は結果に大きな影響を及ぼす。近年ではDNA配列から表面の特徴が部分的に推測できて、復顔に取り入れられた例もある。筋肉や皮膚の厚さには個人差があり、また皮膚や毛髪の色や性情は年齢変化するため、特定の個人の顔貌をぴったりと再現することは難しいものの、他には知りえない古代人などの在りし日の顔貌を再現する意義は十分にあるだろう。

プロフィール

三枝千尋 氏
花王株式会社 感覚科学研究所
王 牧芸 氏
東京大学 定量生命科学研究所 研究員
高橋康介 氏
立命館大学 総合心理学部 教授
今岡 仁 氏
NECフェロー/AI・アナリティクス事業統括部長
河野礼子
慶應義塾大学 文学部 教授・センター副所長

センター主催のシンポジウム・講演会について

当センターの活動の一環として、シンポジウム・講演会を年3〜4回程度開催しています。その目的は、多分野にまたがる自然科学の相互理解を深め、研究の推進と教育の質の向上を図ることにあります。参加費は無料です。特に指定のない場合、聴講の対象に制限はなく、事前申込は不要です。ただし、取材の場合は事前に許可を取って下さい。

天災・交通事情など予期せぬ事態により変更・中止となる場合がございます。
その場合、本ウェブサイトで告知しますので、事前にご確認下さい。

問合せ先:慶應義塾大学 自然科学研究教育センター 事務局 (日吉キャンパス来往舎内)
〒223-8521 横浜市港北区日吉 4-1-1
Tel: 045-566-1111(直通) 045-563-1111(代表) 内線 33016
office@sci.keo.ac.jp

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