生体透明性の進化的理解のためのマルチオミクス解析基盤構築
海洋にはクラゲや一部のホヤ、甲殻類、軟体動物などにおいて驚くほど透明な生物が存在する。これらの透明生物はどのような進化的道筋から生じたのだろうか。本研究では透明性進化の軌跡を追うためのマルチオミクス情報を整理し、進化的背景探索のための基盤づくりを行う。
-
- メンバー :
- 堀田 耕司(代表)
-
- プロジェクト期間:
- 2026年度プロジェクト [ 2026年度〜継続中 ]
目的
透明な生物を透明にする機構を理解するための研究はほとんどなされていない。これまでに申請者はナツメボヤ科のホヤ胚はおしなべて驚くほど透明であることを見出した(Shito et al., 2020)。ホヤ類のうちナツメボヤ科のみが透明であるということは長い進化過程においてナツメボヤ科間で透明性進化に必要な遺伝的変異は共有されているはずである。本研究では沖縄や東北地方に生息する透明生物(Phallusia phillipiensis、Ascidiella aspersa、各種クラゲ)をサンプリングし、トランスクリプトーム、メタボローム等の情報を整理し、進化的背景探索のための基盤づくりを行う。
内容
海洋には驚くほど透明な生物が存在する。これら透明生物はどのような進化的道筋から生じたのだろうか。本研究ではクラゲやホヤ等のもつ生体透明性が種ごとに大きく異なる生物集団を採集し、透明性の進化がどのような遺伝的、生態学的、物理的要因によって進化してきたかを明らかにするために必要なマルチオミクス解析基盤の構築を行う。本研究プロジェクトでは以下の4つを遂行する。
1. 沿岸に生息する透明生物のサンプリング
2. 各種透明生物の系統解析およびトランスクリプトーム解析
3. トランスクリプトから遺伝子モデルの構築
4. 情報基盤データベースの構築
1. 生物多様性が豊富な沖縄の海において透明生物(ホヤおよびクラゲ)を入手する。2.これらを入手後、ラボ内で飼育培養し、胚が得られたものから順次、胚の系統解析およびRNA-seq解析を行う。3. RNA-seqで得た情報から遺伝子モデルのアノテーションを行い、オントロジー情報を整理する。4. これら遺伝情報基盤データベースの構築を行い、比較解析のための基盤をつくる。以上、1~4のデータ基盤を整備することができれば生体透明性進化研究を進展させていくことができると期待され、生体透明性の進化の謎に迫ることができると期待される。