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ナノ粒子を利用した光毒性の低いリン光性プローブの開発

リン光を用いた細胞内酸素測定は、光毒性という本質的な課題を抱えている。本研究では、この光毒性を軽減するため、ナノ粒子を利用したリン光性プローブの開発に着手する。

  • メンバー :
    岡本 昌樹(代表)蒲池利章,尾台俊亮(2026年度より自然セ共同研究員予定)
  • プロジェクト期間:
    2026年度プロジェクト [ 2026年度〜継続中 ]

目的

酸素は細胞の代謝やシグナル伝達に深く関与し、その濃度変化は多くの疾患と密接に関連している。細胞内酸素濃度を測定することは、病態理解や治療法開発に不可欠である。リン光を利用した酸素濃度測定は高感度かつ非侵襲的で有用であるが、測定時に一重項酸素が発生し、細胞障害を引き起こす光毒性という課題を抱えている。本研究では、この光毒性を軽減するため、リン光性色素を内包したナノ粒子を開発する。これにより、一重項酸素の影響が少ない細胞内酸素濃度イメージングの実現を目指す。

内容

本研究では、リン光を用いた酸素濃度測定に伴って生じる細胞障害の低減を目的とした、新たなリン光性プローブを開発する。細胞障害の主な要因は、測定過程で発生する一重項酸素による生体分子の酸化とその後の連鎖反応である。つまり、一重項酸素が生体分子と反応する前に、効率的に失活させることで細胞障害は低減可能であるといえる。一般的に、一重項酸素の失活には、化学的消光や物理的消光を引き起こす消光剤が良く用いられている。これらの消光は、細胞へ消光剤を添加する必要があり、添加が不要なイメージングプローブが求められている。
本研究では、リン光性色素をガス透過性ナノ粒子内に内包させ、色素と生体分子との間に空間的な隔離を設けることで、一重項酸素が生体分子に到達する前に失活するプローブを設計する。これは一重項酸素が細胞内で約300 nsの寿命を持ち、150 nm程度の距離を移動するとされていることを利用している。さらに、消光剤をナノ粒子に内包する、あるいは消光剤で粒子表面を被覆する設計を採用する。これにより、細胞への導入が比較的容易な150 nm未満の大きさのナノ粒子においても、一重項酸素の消光が促進され、細胞障害の低減が可能になると期待される。
この設計の有効性を検証するため、酸化的損傷の低減に対するナノ粒子の粒子径依存性を検討する。単なる空間的な隔離で十分な性質が得られなければ、消光剤の修飾などを検討する。非細胞系の実験で有効性が明らかになったリン光性プローブを培養細胞に導入し、細胞内の酸素濃度を測定するとともに、光照射下における細胞障害の程度を比較する。これらの評価を通じて、プローブの酸素応答性と生体適合性の両面から最も実用的な酸素濃度測定プローブを選定する。

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