産業微生物による有用物質生産の包括的な解析

産業微生物による有用な二次代謝産物生産のための代謝システムの解析

目的

微生物による有用物質生産の可能性を検討する

内容

放線菌はどこにでもいる土壌細菌であるが、人間の手で生産することのできない複雑な化合物を生産するこ
とができる。これらの化合物の一つに抗寄生虫薬:イベルメクチンがある。この化合物は放線菌の一種:
Streptomyces avermiilis から発見され、この功績により、大村智 博士が 2015 年にノーベル賞を受賞された。
ところで、イベルメクチンのような微生物の作る特殊な化合物は二次代謝産物と呼ばれる。いわゆる「代謝」
とは一次代謝のことであり、アミノ酸や糖などの生命活動に必須な代謝である。一方で、二次代謝は生存に必
須ではない代謝で微生物や植物には存在するが、人間を含む多くの生物は持っていない。しかしながらこれら
の二次代謝産物は医薬品や香料などとして我々人間の生活に不可欠である。
このような有用な二次代謝産物は非常に多種多様で複雑な骨格を持つ化合物であるが、合成の原料となるのは
シンプルに全て アミノ酸や糖などの一次代謝産物である。 すなわち、アミノ酸などの原料の供給を最適化 『代
謝フラックスの最適化』 することができれば、より効率的に有用化合物を生産できる可能性がある。
そこで申請者らは二次代謝産物生産に対する一次代謝産物の供給を最適化すべく、種々の遺伝子を欠失、また
は増強することで、 『代謝フラックスを最適化』 し、より効率的な物質生産を目的として本研究を遂行する。

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