ゾウリムシの飼育法 †
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はじめに †
ゾウリムシは、薄めた麦茶やウーロン茶でも比較的簡単に飼育することができるが、研究の現場では、稲わら培養液やレタスジュース培養液が用いられる。ここでは、稲わら培養液とレタスジュース培養液による飼育方法を記述する。
稲わら培養液による飼育法 †
材料 †
- ゾウリムシ(Paramecium caudatum)
- 稲わら:無農薬のものが望ましい。
器具 †
- 鍋または、ビーカー
- 培養瓶:三角フラスコなど
(コーヒーの空きビンなどでも良い。)
手順 †
- ゾウリムシ培養液の調整法
- 稲わら5本程度を約8 cm程度に切る。
- 1000 mlの蒸留水が入った鍋に切ったわらを入れる。
- 鍋を火にかけ、15分沸騰させる。
- 完全に冷ます。
- ゾウリムシの植え継ぎ
ポイントやトラブルシューティング †
- 注1:ゾウリムシの餌となるバクテリアの繁殖のために、稲わらを入れたまま培養液として使用する。
- 注2:負の走地性のため、水面近くの培養液に、ゾウリムシが集まっているので、この部分をゾウリムシ懸濁液として植え継ぐ。
- 注3:密閉せず、通気性のよい状態を保つため、スポンジや紙で蓋をする
- 注4:増殖最適温度は、26℃といわれているが、維持する目的なら、室温で増殖した後、10℃くらいの低温で維持する。
レタスジュース培養液による飼育法 †
材料 †
- ゾウリムシ(Paramecium caudatum)
- エサ用バクテリア 桿菌 (Klebsiella pneumoniae)
- レタス:無農薬のものが望ましい。
- CaCO3
- グルコース
- アガロース
- イーストエクストラクト
器具 †
- 鍋:レタスをゆでる時に使用。
- ピンセット、箸:レタスをゆでる時に使用。
- 濾紙、キムワイプ®
- ビニール袋
- 乳棒・乳鉢:乾燥レタスを粉末にする時に使用。
- 乾燥剤
- 培養瓶:三角フラスコなど
- 三角フラスコ:寒天培地、ゾウリムシ培地作成時に使用。
- オートクレーブ
- オーブン
- 滅菌シャーレまたは、栓つき滅菌試験管:バクテリア培養用
- 白金耳:バクテリア植え継ぎ用
手順 †
- 乾燥レタス粉末の調整法
- レタスジュース培養液の調整法
- 1ℓのフラスコに700〜800mlの蒸留水と乾燥レタス粉末0.5gを加え、加熱し、5分沸騰させる。
- CaCO3少量(耳かき1杯程度)を加え、蒸留水で1ℓにメスアップする。
- アルミ箔で蓋をして、オートクレーブ(121℃、15分)で滅菌する(図3右)。
- 桿菌(Klebsiella pneumoniae )の培養法
- ゾウリムシの植え継ぎ
- 餌バクテリアとしてK. pneumoniaeの培養容器にゾウリムシ培養液を少量加え、バクテリアを洗い流すようにして、バクテリア懸濁液を作る。
- レタスジュース培養液に、バクテリア懸濁液とゾウリムシを入れる。
- 蓋をして、直射日光のあたらない室温で培養する。
- ゾウリムシを維持する目的ならば、1〜3か月に1回の頻度で植え継ぐ。実習などで、大量にゾウリムシが必要な場合には、必要な日の2週間前くらいに植え継ぐとよい。
ポイントやトラブルシューティング †
- 注5:オーブンでの乾燥は、場所によって温度ムラがでるため、5〜10分置きに場所を移動させながら、乾燥状態をチェックする。普通10〜30分くらいで乾燥する。
- 注6:温度差があると湿気を帯びやすいので、室温で保存する。
- 注7:K. pneumoniaeは、最低培地で育つので、グルコースと無機塩類が含まれていればよい。
- 注8:乾燥に気をつけて、室温で培養し、2〜3か月ごとに植え継ぐとよい。
- 注9:K. pneumoniaeを培養した培地は、オートクレーブにかけ滅菌後、廃棄する。
参考文献 †
重中義信 監修 (1988) 原生動物の観察と実験法、共立出版
印刷用PDFマニュアル †
添付ファイル: ゾウリムシ飼育法.pdf 16件 [詳細] mparemefig21.jpg 11件 [詳細] mparamefig32.jpg 11件 [詳細] mparamefig31.jpg 11件 [詳細] mparamefig1.jpg 10件 [詳細]
Last-modified: 2009-03-04 (水) 10:53:30 (26d)