データの集計について

物理量の測定値における偶然誤差を減らすためには、測定の回数を増やすことが有効である。しかしながら、授業においては時間的制約があるため、測定回数は数回(多くても10回程度)に限られてしまう。

そこで、当プロジェクトでは、長年の授業により蓄積された、学生レポートの集計作業および簡単な統計解析を行った。この結果は、実際の実験に起こりうる誤差、精度、およびに実験の問題点を知るための重要な手がかりになる。

集計作業

  • 調査の対象は、2002年度から2005年度の間に提出された学生のレポートである。
  • それぞれの年度ごとに、ほぼ等量の標本を無作為抽出した。
  • 実験によっては、記録できる量が複数存在する場合もある。そのようなときは、できるだけ(1)実験の目的に則した量(2)統計をとって意味のある量、を選んで記録した。

解析

  • 母集団は、対象となる期間に提出された全てのレポートである。*1
  • 記録したレポートは、母集団から抽出したサンプルとして取り扱う。

測定量の推定値

  • 物理量の真の値の推定値としては、標本平均を用いるのが普通である。すなわち、標本値の集合を{xn}、標本数をNとすると、標本平均 a math image
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    で与えられる。
  • 測定値のばらつきの目安となるのが「分散」と呼ばれる量である。分散を標本から推定するときには、不偏分散
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    を用いる。
  • サンプルの抽出を複数回行ったときには、それぞれの集計作業ごとに得られる平均値はばらつくはずである。このばらつきの指標としては、「平均値 a math image の分散」を考えればよい。この量を「標準誤差」といい、測定による偶然誤差の推定値として用いる。普遍分散から計算することができる。
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文献値

  • 授業で行われるほとんどの実験では、ある物理量を実験により求めて、既知の値と比較する。しかしながら、参考とする値もまた実験により得られたものである。どんな実験にも誤差がともなうので、これは「真の値」ではありえない。したがって、最も信頼できる実験結果から得られた値を「文献値」と呼ぶことにする。
  • とくに断りのない限り、文献値として「理科年表」に記載されているものを使用する。

*1 母集団の大きさはまだ特定できていないが、履修状況の記録から見積もれる。

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Last-modified: 2006-05-17 (水) 19:12:48 (1048d)