固体の弾性 †
弾性体に働く力が小さい時、その「のび」が力の大きさに比例することは、「フックの法則」としてよく知られている。本実験では金属棒に荷重をかけたときの微小なたわみを、ユーイングの装置と呼ばれる巧妙な仕組みで観測し、金属のヤング率を求める。
概要 †
フックの法則は外力が小さい時によく成り立つが、高い剛性をもつ試料でその効果を観測しようとすれば、変位はおのずと小さくなり、測定は難しくなる。本実験では、幅15mm、厚さ4mm程度の金属棒に1kgまでの荷重をかけるが、そのときの変位は0.1mmのオーダーになり、肉眼では測定しずらい。この微小な変位を測定する「顕微鏡」を測定装置自体に組み込んでしまったのがユーイングの装置である。
この仕組みを用いて、金属棒の荷重による降下量eを測定する。eそのものは試料のサイズに依存するが、ヤング率と呼ばれる量は試料の種類のみに依存し、弾性の目安となる。断面積S、長さLの棒に力Fを加えたときの伸びΔLに対して、ヤング率Eは

で与えられる。
本実験では、幅b、厚さdの棒の中点におもりを吊したときの降下量eを測定する。おもりの質量をm、棒の長さの半分をlとすれば、ヤング率は

となる。
特徴 †
- さまざまな荷重に対する金属棒の変位を測定することにより、フックの法則がよく成り立っていることを確認できる。
- 微少な変位を測定する仕組みを、実験装置を配置することによって学生自らが構築することにより、その仕組みを理解できる。
- 物質により弾性が異なることを定量的に確認できる。
装置 †
★詳細については、実験マニュアルを参照
支持台![]() | マイクロメーター![]() |
望遠鏡![]() | スケール![]() |
試料![]() | オプチカルレバー![]() |
実験の流れ †
★詳細については、実験マニュアルを参照
画像 | 手順 |
---|---|
![]() | ユーイングの装置を設置する。手前の金属棒が測定対象である。 |
![]() | 変位の測定;望遠鏡でオプティカルレバーの鏡に映し出された目盛りを読み取る。 |
![]() | さらに荷重を増やしていく。 |
実験結果 †
- 実験結果には、3種類の試料(真鍮、銅、鉄(鋼))を測定した結果が混ざっている。そのため、ヒストグラムには複数のピークが現れている。
- E=20周辺のピークは鉄によるものだと思われる。
- E=10周辺に真鍮、E=12~13には銅のピークが期待されるが、両者が重なって現れているように見える。
標本数 | 300 |
実験マニュアル †
ダウンロード:
固体の弾性.pdf
添付ファイル:











Last-modified: 2008-12-15 (月) 18:05:25 (105d)