アセトアニリドの合成 †
実験の紹介 †
実験の目的とねらい †
有機合成は医薬品開発の分野で役立っている。アセトアニリドはかつて解熱剤として使われたことがあり、本実験でそれを合成することにより、有機化合物の反応を身近なものとして感じることができる。なお、反応生成物は結晶として得られるので、再結晶による精製法も学ぶ。
実験内容 †
乾燥したナス型フラスコにアニリンと、無水酢酸・氷酢酸混合物(体積比1:1)を加え、10分間加熱還流する。放冷後、水が入ったビーカー内に反応液を注ぎ入れながら攪拌すると、アセトアニリドの粗結晶が析出する。これを希酢酸を用いて再結晶する。得られた結晶の重量を測定し、収率を求める。
実験上の注意 †
<実験開始前の準備>
[使用器具および試薬]
・100 ml ナス型フラスコ
・コルク台
・マントルヒーター
・リービッヒ冷却器
・ブフナーロート
・ペーパータオル・キムタオル
・ブフナーロート用ろ紙(70 mmφ)
・沸騰石
・天秤と薬包紙
・薬さじと、圧搾用ふた
・駒込ピペット
・メスカップ
・電卓
・アニリン
・無水酢酸・氷酢酸混合液
・希酢酸
・氷
・個人器具および机上試薬
[試薬の調製]
・アニリンは色がつきやすいため、少しずつ分注して使う。
<実験開始時の注意>
・ナスフラスコは必ずコルク台にのせてドラフト内に置いた状態で、試薬を注ぐ。(激しく発熱するため)。
・理論収量の計算をする場合、アニリンの比重を1.02とする。
・アセトアニリドは通常の洗浄だけでは落ちない。フラスコ等ガラス器具に付いた固形物の洗浄はメタノールの洗びんを使って溶解除去したのち、洗剤とブラシで洗う。
実験テーマの履歴など †
慶應義塾大学日吉キャンパスの文系学生を対象とする化学実験において、この実験テーマが開始されたのは1949年の新制大学(文、経、法、工学部)発足の翌年以降と推定されます。実験操作の内容は参考文献(1)に記載されています。
参考文献
(1)「大学課程 一般化学」佐々木洋興、辻岡昭、膳昭之助、大矢徹 共著(オーム社、 1968年).有機合成実験[実験13]、pp.267-268.