* イトマキヒトデの受精法 [#pf56ea95]
RIGHT:SIZE(9){画像をクリックすると拡大表示されます。}
#ref(生物学実験/タイトル画/Tヒトデ受精法.jpg,exif,right,wrap,around);
#contents

** はじめに [#s390220c]
イトマキヒトデの受精法を[[''1. 精子の単離''>#method1]]、[[''2. 卵の単離''>#method2]]、[[''3. 受精''>#method3]]の3項目に分けて記述する。

** 材料 [#xbc20217]
-''イトマキヒトデ('''Asterina pectinifera''')''

**試薬 [#hb294b4c]
-''1 mM 1-methyladenine'':分子量149.15 
#br
|BGCOLOR(#4f81bd):COLOR(white):1 mM 1-methyladenine 溶液|BGCOLOR(#4f81bd):COLOR(white):RIGHT:100 ml|
|1-methyladenine|RIGHT:15 mg|
|蒸留水|RIGHT:100 ml|

-''海水''、または''人口海水''(マリンアートMARINEART®SF-1)300〜500ml程度

** 器具 [#t4a6c30f]
- ''ハサミ'' 
- ''ピンセット'' 
- ''パスツールピペット'' 
- ''ビーカー'' 
- ''直径9cmガラスシャーレ'' 
- ''15ml試験管'' 
- ''手回し遠心機'' 

**手順 [#p17ac32c]
+''イトマキヒトデの精子の単離''&aname(method1);
++オスのヒトデの腕の外皮にハサミを入れ、ピンセットで挟みだすようにして精巣を取り出す。&br;(ヒトデは、雌雄異体で、その生殖巣は各腕の体腔に1対ずつ存在する。)
++3 mlの海水が入った試験管に、取り出した精巣の一部を入れる。
++ii の海水をパスツールピペットで懸濁することで、精子を海水中に遊離させる。
#br
+''イトマキヒトデの卵の単離''&aname(method2);
++メスのヒトデの腕にハサミを入れ、オスの精巣と同様に卵巣を取りだす。
++2腕分の卵巣を10 mlの海水が入った50mlビーカーに入れる。
++上清が濁っていた場合、上清を捨て新たな海水に変える。([[注1>#attention1]]&aname(attention1r);)
++iii のビーカーに1 mM 1-methyladenineを10 µl加え、良く攪拌し、15-20分処理する。
++海水が入った9cmシャーレに卵巣をピンセットで移し、ハサミを用いて細かく切断する。
++卵巣から出てきた卵を観察し、卵核胞がなくなっている事をチェックする。
++卵懸濁液を試験管に移し、手回し遠心機を用いて卵を集める。
++vii の上清を捨て、新たな海水10 mlで未受精卵を懸濁した後、500mlビーカーに移す。
#br
+''受精法''&aname(method3);
++[[''1.''>#method1]] の作業で得た精子数滴(1-4滴)を [[''2.''>#method2]]で準備した未受精卵懸濁液に加え、よく攪拌する。
++受精膜を確認した後、未授精卵の体積1mlあたり([[注2>#attention2]]&aname(attention2r);)、200-300mlの海水を加えて懸濁し、攪拌培養する(20 ℃, 30 rpm)。
++20℃の温度条件で、64細胞期は4時間、胞胚は16時間、中期原腸胚は24時間、後期原腸胚は36時間、ビピンナリア幼生は60時間インキュベートすると、目的の発生ステージのサンプルが得られる。

** ポイントやトラブルシューティング [#d445c29a]
- &aname(attention1);[[注1>#attention1r]]:濁ったまま作業を進めると、発生がうまく進まないことがあるので、濁った場合は、かならず海水を入れ替える。
- &aname(attention2);[[注2>#attention2r]]:本作業を実施するにあたっては、卵巣が充分に成熟した親個体を準備する必要がある。具体的には、5〜7月は東京湾、9〜12月は青森県陸奥湾産のイトマキヒトデが実験に使用できる。
#br
**PDFマニュアル [#caf86bc1]
**印刷用PDFマニュアル [#caf86bc1]
#ref(イトマキヒトデの受精法.pdf)

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