キラリティ(左と右の区別)

実験風景

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実験の紹介

実験の目的とねらい

自然界におけるキラリティ(左と右の区別)は重要なテーマの1つである。天然には本来L型アミノ酸やD型の糖しか存在しないが、その理由はまだ解明されていない。これらの鏡像異性体は、右旋性か左旋性かで区別できる。しかし、偏光面の回転という現象は非常に理解しにくい。そこで本実験では、旋光度の測定を通して理解を深める。また、分子の世界の右手と左手の違いが、結晶外形に反映したり、匂いの違いとして表れたりすることを知る。

実験内容

グルコースを水に溶解した直後の旋光度の時間変化を、偏光計(デジタル式)を用いて追跡する。ただし、実験データをグラフ化する程度にとどめ、反応速度の導出までは行わない。ショ糖の水溶液についても、旋光度を測定し比旋光度を計算する。またポケット糖度計を用いて、その糖度を測定する。鏡像異性体が異なる匂いをもつ例として、(+)-リモネンと(-)-リモネンの香りを比較する。また天然水晶の微小面を観察し、右水晶か左水晶かを判別する。

実験上の注意

<実験開始前の準備>
[使用器具および試薬]
・旋光計および観測管
・ポケット糖度計
・50 mlメスフラスコ(2個)
・きらりビュアー
・天然水晶および水晶玉
・スクロース
・グルコース
・(+)-および(-)-リモネン
個人器具および机上試薬

[試薬の調整]
・平衡に達したグルコース水溶液を実験に使用するので、少なくとも実験前日に正確な濃度で調製しておく。

<実験開始時の注意>
・デジタル式旋光計のゼロセットボタンを押してはならない。(その角度で、表示が0となり、測定値がずれてしまう)。
・観測管は中が濡れている場合、共洗いが必要である。
・観測管は水でよく流し、水を切っておく。乾かすために、ふたは両方あけたままにする。
・スクロースの旋光度の測定をして操作になれてから、グルコースの実験を行なう。(グルコースの溶液を作ったら、すぐ測定しないと旋光度が変わっていってしまう)。

<失敗例>
・旋光計の接眼鏡をのぞいたが暗くて何も見えない。(対策:観測管の窓ガラスのところに気泡が入っているので、気泡ダメに逃す)。
・比旋光度が文献値と合わない。(理由:調製した水溶液の濃度が不均一だったため)。

実験テーマの履歴など

慶應義塾大学日吉キャンパスの文系学生を対象とする化学実験において、この実験テーマは2005年に開始されました。 実験内容は、文献(1)をベースにしています。ただし、実験操作を簡便にするために、旋光計はデジタル式のものを使用することにしました。また、原子や分子のレベルの左右の構造の違いが外界に現れる例として、水晶の結晶外形や化合物の香りを取上げることにしました。なお、右水晶と左水晶の判別が可能なほど、微小面がはっきりと出ているサンプルは珍しく、入手は困難です。

参考文献
(1)「基礎化学実験 (慶應義塾大学理工学部)」(学術図書出版、2001年). D-グルコースの変旋光速度、p.64-75.

実験テキスト

file09.キラリティ.pdf


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Last-modified: 2008-04-23 (水) 11:32:08 (341d)