* 固体の弾性 [#x1a644b9]

弾性体に働く力が小さい時、その「のび」が力の大きさに比例することは、「フックの法則」としてよく知られている。本実験では金属棒に荷重をかけたときの微小なたわみを、ユーイングの装置と呼ばれる巧妙な仕組みで観測し、金属のヤング率を求める。
 

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#contents
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*概要 [#j1941210]

フックの法則は外力が小さい時によく成り立つが、高い剛性をもつ試料でその効果を観測しようとすれば、変位はおのずと小さくなり、測定は難しくなる。本実験では、幅15mm、厚さ4mm程度の金属棒に1kgまでの荷重をかけるが、そのときの変位は0.1mmのオーダーになり、肉眼では測定しずらい。この微小な変位を測定する「顕微鏡」を測定装置自体に組み込んでしまったのがユーイングの装置である。

この仕組みを用いて、金属棒の荷重による降下量eを測定する。eそのものは試料のサイズに依存するが、ヤング率と呼ばれる量は試料の種類のみに依存し、弾性の目安となる。断面積S、長さLの棒に力Fを加えたときの伸びΔLに対して、ヤング率Eは
#tex(center,"\frac{F}{S} = E \frac{\Delta L}{L} ")
で与えられる。

本実験では、幅b、厚さdの棒の中点におもりを吊したときの降下量eを測定する。おもりの質量をm、棒の長さの半分をlとすれば、ヤング率は
#tex(center,"E = \frac{l^3}{4bd^3} \frac{mg}{e} ")
となる。

** 特徴 [#pe4c7257]

-さまざまな荷重に対する金属棒の変位を測定することにより、フックの法則がよく成り立っていることを確認できる。
-微少な変位を測定する仕組みを、実験装置を配置することによって学生自らが構築することにより、その仕組みを理解できる。
-物質により弾性が異なることを定量的に確認できる。


** 装置 [#a64e6b0b]

★詳細については、[[実験マニュアル>#r99795f5]]を参照

|CENTER:支持台&br;&ref(stand.jpg,nolink);|CENTER:マイクロメーター&br;&ref(micro.jpg,nolink);|
|CENTER:望遠鏡&br;&ref(scope.jpg,nolink);|CENTER:スケール&br;&ref(scale.jpg,nolink);|
|CENTER:試料&br;&ref(bars.jpg,nolink);|CENTER:オプチカルレバー&br;&ref(mirror.jpg,nolink);|

**実験の流れ [#c2a506cc]

★詳細については、[[実験マニュアル>#r99795f5]]を参照

|~画像|~手順|
|#ref(step1.jpg,nolink)|ユーイングの装置を設置する。手前の金属棒が測定対象である。|
|#ref(step2.jpg,nolink)|変位の測定;望遠鏡でオプティカルレバーの鏡に映し出された目盛りを読み取る。|
|#ref(step3.jpg,nolink)|さらに荷重を増やしていく。|




** 実験結果 [#m753c647]

-実験結果には、3種類の試料(真鍮、銅、鉄(鋼))を測定した結果が混ざっている。そのため、ヒストグラムには複数のピークが現れている。
-E=20周辺のピークは鉄によるものだと思われる。
-E=10周辺に真鍮、E=12~13には銅のピークが期待されるが、両者が重なって現れているように見える。

|標本数|300|
//|平均値|14.22 [N/m&super{2};]x(10&super{10};)|
//|標準偏差|5.62 [N/m&super{2};]x(10&super{10};)|

#br

#ref(rigid.txt.gif,center)


** 実験マニュアル [#r99795f5]

//[[物理学実験/著作権について]]をご一読ください。

>ダウンロード: &aname(manual);&ref(rigid.pdf);
>ダウンロード: &ref(固体の弾性.pdf);

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RIGHT:[[物理学実験/著作権について]]

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