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セッケンの合成 (*)

油脂をアルカリで加水分解すると、セッケンが生成することを学ぶ。また、その水溶液の性質を合成洗剤の場合と比較する。

実験風景

*写真をクリックすると大きくなります。

実験の紹介

実験の目的とねらい

人類は古くからセッケンを作り、利用してきた。そしてそれは油脂と密接な関係にある。セッケンは界面活性剤の一種であり、親水性と疎水性の両方の部位をもつ化合物である。セッケンの合成実験を通して、界面活性剤の構造と機能を学ぶ。

実験内容

サラダ油とオルトケイ酸ナトリウムを使ってセッケンをつくる。また、セッケン水と合成洗剤水溶液にそれぞれ硬水やサラダ油を加えて、濁り具合などを比較する。

実験上の注意

<実験開始前の準備>
[使用器具および試薬]
・ビーカー 200 ml
・メスシリンダー
・軍手
・乳鉢
・オルトけい酸ナトリウム(n水和物)2.5 g
・サラダ油 10 ml
・エタノール 2 ml
・硬水 2 ml
・合成洗剤(台所用)
・pH試験紙およびその台紙
個人器具および机上試薬

[試薬の調製]
・オルトけい酸ナトリウムは塩基性(ただし水酸化ナトリウムよりは弱い)である。前もって乳鉢で砕いておく必要があるが、そのときは必ずビニール手袋を使用すること。


<実験開始時の注意>
・アルコールは引火性なので、バーナーの横に放置してはならない。
・やけどに注意。(熱いビーカーを持つときは軍手を使う)。
・セッケンの合成に使用した200 mlビーカーは、底にガラス状の粉末が付着し、洗っても取れない。

<失敗例>
・オルトけい酸ナトリウム水溶液にサラダ油のエタノール溶液を加え終わってから、さらに加熱を続けるところで、ビーカーから吹きこぼれてしまった。(対策:常にガラス棒で撹拌していれば、吹きこぼれにくい。それでも沸とうが激しいようならば、バーナーをビーカーから遠ざけるなどして火加減を調節する)。
・加熱を続けたところ、ビーカーの底にセッケンが固まってしまった。(対策:柔らかいクリーム状になったら、加熱を止める)。

実験テーマの履歴など

 慶應義塾大学日吉キャンパスの文系学生を対象とする化学実験において、この実験テーマは2008年に開始されました。この実験テーマを始めるに当たっては、文献(1,2)の内容をベースにしました。セッケンの合成は一般には水酸化ナトリウムを使って行われてきました。 しかし、セッケンに未反応の水酸化ナトリウムが残ると使用上危険であるという問題があります。オルトケイ酸ナトリウムは水酸化ナトリウムよりも塩基性が弱く,またセッケンを固化させる作用もあり、簡便にセッケンが合成できるという利点があります。ただし、生成したセッケンがビーカーの底に固まってしまい、水で洗ってもとれなくなるということが起こります。(ビーカーに熱いお湯を入れると、セッケンがとれやすくなります)。なお、ガラス状の粉末がビーカーの底に付着してしまいますが、それは洗ってもとれません。
なお、当初はサラダ油20 mlに対してオルトケイ酸ナトリウム水和物を5 g反応させていましたが、吹きこぼれやすく、また生成したセッケンがビーカーの底に固まって洗いにくいため、2010年からすべて半分のスケールで実験することにしました。これにより反応時間も短縮でき、また吹きこぼれも起こりにくくなりました。

参考文献
(1)酒巻弘ほか、「オルトケイ酸ナトリウムとアルコールを用いる固形セッケンの合成」、化学と教育、40巻、pp.544-545、(1992年).
(2)小松寛、「セッケン作りを極めてみよう!」、化学だいすきクラブニュースレター、No. 2、6-7(2007年). (化学と工業、60巻4号に付録として綴じ込み)

実験テキスト

セッケンの合成 pdf (243KB)

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