現在のページはHOMEの中の取り組みの中の文系学生実験の中の化学実験の中のタンパク質の定性反応のページです。

タンパク質の定性反応

呈色、沈殿、凝固反応を通して、タンパク質の性質や構成アミノ酸の反応性を知る。

実験の紹介

実験の目的とねらい

アミノ基とカルボキシル基の両方をもつ分子をアミノ酸という。こんぶの旨味成分であり「味の素」に含まれているグルタミン酸も、アミノ酸の一種である。多 数のアミノ酸から水が取れて、鎖状に無数に結合したものがタンパク質である。その呈色反応、沈殿反応、凝固反応の観察を通して、生体高分子であるタンパク 質の性質を学ぶ。

実験内容

タンパク質試料として卵白アルブミン水溶液を試験管に各1mlとり、呈色試薬を加える。(ビウレット反応、キサントプロテイン反応、ホプキンスコール反応、硫化鉛反応、坂口反応、ニンヒドリン反応)。また沈殿や凝固反応についても適宜行う。

実験上の注意

<実験開始前の準備>
[使用器具および試薬]
・卵白アルブミン溶液
・2M NaOH水溶液
・1% CuSO4水溶液
・10% CuSO4水溶液
・conc HNO3
・6M NH4OH
・グリオキシル酸溶液
・conc H2SO4
・conc HNO3
・1M Pb(CH3COO)2水溶液
・ニンヒドリン水溶液
・次亜塩素酸ナトリウム溶液
・α‐ナフトール
・NaCl(固体)
・リンモリブデン酸溶液
・リンタングステン酸溶液
・タンニン酸水溶液
・ピクリン酸飽和水溶液
・スルフォサリチル酸水溶液
・メタノール
・アセトン
・エタノール
個人器具および机上試薬

[試薬の調製]
・卵白アルブミン溶液(冷蔵庫に保存)
卵白アルブミン40 gを水に溶かして250 mlにする。
わずかに溶解しないものを綿栓ろ過して取り除いた後、合計1 Lになるまで水を加える。
・机上試薬の6M アンモニア水は、濃度がかなり低下していることがあるので、別途用意した方がよい。

<沈殿反応用>
・10% CuSO4水溶液は10 gを水100 mlの割合で溶かす。
・1M Pb(CH3COO)2水溶液は19 gを水100 mlの割合で溶かす。
・タンニン酸水溶液は、3 gを水100 mlの割合で溶かす。
・ピクリン酸は飽和水溶液を作る。
・スルフォサリチル酸水溶液は、5 gを水100 mlの割合で溶かす。
・リンモリブデン酸溶液は、2 gを0.5M H2SO4 100 mlの割合で溶かす。
・リンタングステン酸溶液は、2 gを0.5M H2SO4 100 mlの割合で溶かす。
<呈色反応用>
・1% CuSO4水溶液は、10%のものを10倍希釈する。
・グリオキシル酸溶液は、1 gを6M CH3COOH 100 mlの割合で溶かす。
・濃硫酸は新しいものを用意する。
・ニンヒドリン水溶液は、0.3 gを水100 mlの割合で溶かす。(1年は保存できない)。
・次亜塩素酸ナトリウム溶液は、ハイター原液をそのまま使用する。(なるべく新しいものを使った方がよい)。
・α‐ナフトール溶液は、100 mgを水:メタノール(1:1) 100 mlの割合で溶かす。(1年は保存できない)。

<実験開始時の注意>
・キサントプロテイン反応では加熱に5~6分かかる。(金網ごしで弱火で加熱すること)。
・濃硝酸や濃硫酸などを含む廃液はポリビーカーではなく、廃液タンクに直に回収する。

<失敗例>
・キサントプロテイン反応で、橙色にならない。(原因:机上試薬のアンモニア水が希薄化していたためと推定される)。

実験テーマの履歴など

慶應義塾大学日吉キャンパスの文系学生を対象とする化学実験において、この実験テーマは2000年度以前から行なわれていました。実験の内容は参考 文献(1)とほぼ同様です。なお、試薬として少量とはいえ、濃硫酸や濃硝酸を使うので、実験後の廃液処理に注意する必要があります。

参考文献
(1)「実験で学ぶ化学の世界3」日本化学会編 (丸善、1996年).タンパク質の反応、pp.133-136.

実験テキスト

タンパク質の定性反応 pdf (922KB)

ページの先頭へ