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[2011.03.17]【中止】 大学教育推進プログラム 自然科学教育シンポジウム(第1回) 終了

日時 2011年03月17日 ( 木 ) 12:50~17:20
会場 慶應義塾大学日吉キャンパス、来往舎1階シンポジウムスペース
内容 「科学的思考力を育む文系学生の実験の開発」-いま学生に何が求められているのか-
【地震による計画停電に伴い中止とします。開催日などは詳細が決まり次第,当ホームページでアナウンス致します。ご理解のほど,よろしくお願い申し上げます。】
参加費 参加費無料

趣旨

2010年度に採択された本取組の理念ならびに事業内容を確認し、今後のめざす方向を明らかにする。また、文系学生に求められている科学的思考力とは何かに焦点を当て、実験を通してそれをいかに育むかについて議論する場としたい。

プログラム

12:50-13:00 開会のあいさつ  長谷山 彰 氏(慶應義塾教育担当常任理事)


13:00-13:40  講演1.「科学的思考力,実学と実験  -取組の目的と内容-」
青木 健一郎 氏(センター外部リンク(新しいウインドウが開きます)所長,日吉物理学教室 外部リンク(新しいウインドウが開きます) , 経済学部 外部リンク(新しいウインドウが開きます)教授)

今回採択された取組,平成22年度「大学教育・学生支援推進事業大学教育推進プログラム」への申請「科学的思考力を育む文系学生の実験の開発 -実学の伝統の将来への継承-」は自然科学研究教育センターが中心となり,慶應義塾大学が実施する事業です。科学的思考力は自然科学を専門とする者だけではなく,全ての学生が早い段階で身につけるべき能力であり,それが他の学問を学ぶ際,そして社会に出て様々な状況で判断を下す場面において大きな力を発揮すると考えています。科学的思考力は,福澤諭吉が強調した実学の精神に通じるものであり,現在の社会においてはますます重要性を増していると思います。このような科学的思考力を,文系学生も全員が身に付けられるようなプログラムを開発する事を本取組は目的としています。このためには,実験に基づいた実証の意味を理解する事が重要な要素となっています。

取組は(I)心理学の体験型実験を含んだ授業の開発,(II)新たなる実験テーマの開発,(III)科学的論述を身につけるプログラムと教材の開発,(IV)学生の学習背景を考慮した実習教材開発,(V)情報発信,の5つの事業から成り立っています。講演では我々が科学的思考力として捉えているのはどのようなものかについて,そして本取組の趣旨と目的を説明します。さらに各事業の内容と現状について具体的に話します。


13:40-14:00  講演2.「心理学の体験型実験を含んだ授業のねらい」
増田 直衛 氏(心理学教室 外部リンク(新しいウインドウが開きます)文学部 外部リンク(新しいウインドウが開きます)教授)

心理学は人間や動物の経験(現象)を整理し,その働き(機能)や意味を明らかにし,さらにその背景にあるメカニズム(機序)を探求する学問であり,扱う現象は人文・社会科学的でありながら,方法論は自然科学的である点にその特徴がある。慶應義塾大学では早くから心理学を,自然科学系列の科目として位置づけてきた。しかしながら,心理学の実験を含む授業は設置されてこなかった。

文系4学部の学生のための実験を含めた自然科学の授業(物理学,化学,生物学)が設置されている。およそ科学的研究教育は研究成果をそのまま「鵜呑み」にするのではなく,どのような方法,条件によって得られた結果であるかを「批判的に問う」習慣を身につけることである。研究成果はそのデータが得られるプロセスが重要であることに留意しなければならない。

心理学においても科学的思考法を人文・社会分野に適用する能力を養う上で体験型実験を含んだ授業は重要な役割を果たすと考えられる。心理学に関連する学科,専攻に進む学生への実習科目は必須のものとして準備されていることは多い。しかし,将来,直接的には心理学と関係しない学部,専攻に進む学生に心理学を体験的に学ばせているケースは全国的にも皆無である。その理由はカリキュラム,教材,実践例等がほとんどないためである。

2011年度から設置される,心理学の体験型実験を含んだ授業のねらいとその工夫について述べる。


14:00-15:00 講演3.「文系学生の科学的思考力増進のための心理学教育-講義・演習・実習の総合-」
辻 敬一郎 氏(名古屋大学 外部リンク(新しいウインドウが開きます)名誉教授,日本学術会議 外部リンク(新しいウインドウが開きます)連携会員)

学部や専攻を超えて,科学的思考の「習性」と「力量」を養うには,知的生産過程を追体験できる「実習」授業が効果的である。ここでは,全学共通教育における「実習」授業の意義とその設計について演者のささやかな経験を踏まえて考える。また,専門教育とは異なる観点から「学術論・学術史」の授業科目の導入を提案する。

初年次に「心理学実習」の授業を設けるのにはそれなりの根拠がある。感情や学習など,心理学の扱う事象は,論理的に構成されたものである。その点,実体を扱う物質科学にはない難しさが伴う。学生は,心理事象を解明する過程を追体験することによって,自身のイメージにある「科学」をとらえなおす貴重な機会を得ることができるであろう。この授業を設計するにあたっては,その意義に照らして,取り上げるテーマの選定やその配列などの要件を明確にすることが必要である。

他方,個別授業を位置づける枠組みもまた重要である。演者はかねてより,全学共通教育としての「学術論・学術史」授業の必要性を指摘してきた。これは,専門教育における個別分野の「学論・学史」の前段階に据えられる科目であり,学生の専攻する分野の特質を俯瞰的にとらえるのに役立つにちがいない。

大綱化によって一般教育と専門教育の区分が取り払われた現在,「教養」とはなにか,教養教育はいかにあるべきかがあらためて問われるが,演者は「専攻以外の専門」こそが教養だと考える。専攻が違っても,その共通項によって分野連携による課題達成が可能になるはずであり,この種の「教養」がいま求められているのであろう。

本講演の表題は,シンポジウムの趣旨に添って文系学生対象としたが,ここに述べる見解はかならずしも文系に限られるものではないことを付言しておく。


(20分の休憩)
15:20-16:20 講演4.「科学的思考力・表現力を育む理科教育の今日的課題-実験・観察を中心として-」
畦 浩二 氏(大阪教育大学理科教育講座 外部リンク(新しいウインドウが開きます)教授)

新学習指導要領改訂の基本方針の一つに挙げられているのが,「思考力・判断力・表現力」の育成である。理科の授業で目指されている思考力は科学的な思考力であり,この思考力を端的に言いおよぶことは難しいが,「観察や実験の結果を分析的,総合的に考察し,既知の事柄や原理・法則などを基に,新たに直面した事象を論理的に説明できる力」と捉えることができる(文部省1999)。日本の理科教育の特徴は,科学の特徴である観察や実験といった直接体験を重視していることにある。しかしながら,さまざまな国際比較から,「生徒自身に観察や実験で得られたデータの処理方法を考えさせる機会に乏しいこと」(小倉 康・松原静郎2009)や「生徒の現象を科学的に説明する能力はそれほど高くないこと」(五島政一 2008)などが指摘されており,観察や実験で得られたデータの分析・解釈を重視する指導が大切である。すなわち,科学的思考力や表現力を育むためには,科学的な言語能力を育成することが求められる。

シンポジウム当日は,上記の話題と併せて,演者が講義担当しているクラスで昨年末に実施した非専科理科生(文系)と専科理科生(理系)における「科学的基礎概念理解度」と「領域別科学的思考力」の調査結果,及び本学が三年前から非専科理科生を対象に開講している「実践的理科力養成プログラム」についても紹介したい。


16:20-17:10 パネルディスカッション 「 科学的思考力を育むにはどうするか」


17:10-17:20 閉会のあいさつ  真壁 利明 氏(慶應義塾研究担当常任理事)


イベントについて

参加対象は、慶應義塾教職員をはじめとして、他大学等の教育関係者を想定しています。学生、大学院生、ならびに一般の人も参加できます。なお、会場準備の都合上、学外の方は事前の申し込みをメール(センター事務局宛て)でお願いします。


問合せ先:慶應義塾大学 自然科学研究教育センター 事務局 (日吉キャンパス来往舎内)
〒223-8521 横浜市港北区日吉 4-1-1
Tel: 045-566-1111(直通) 045-563-1111(代表) 内線 33016
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