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イベント・ニュース

[2012.03.10]大学教育推進プログラム 自然科学教育シンポジウム(第2回) 終了

日時2012年03月10日 ( 土 ) 14:00〜17:10
会場慶應義塾大学日吉キャンパス、来往舎2階大会議室
内容「科学的思考力を育む文系学生の実験の開発」
-若手研究者からの視点-
参加費参加費無料

趣旨

大学教育推進プログラム「科学的思考力を育む文系学生の実験の開発」(平成22年度採択)の事業を自然科学研究教育センターが中心となって進めてきました。当初3年間の予定でしたが、政府予算の打ち切りにより、今年度2年目をもって終わることになってしまいました。そこで、これまで実験テーマ開発に携わってきた特任助教の方に、教育および研究に関して講演してもらい、得られた成果を総括し、今後に残された課題などを議論したいと思います。

プログラム

第一部

14:00-14:10 開会のあいさつ 青木 健一郎 (大学教育推進プログラム実行委員長)


14:10 -14:50 講演1.「心理学実習科目の新しい形」  新井 哲也(自然セ、心理学担当)特任助教

要旨
心理学では、「実験とレポート作成を重視した総合教育科目としての心理学教育の試み」と題し、非専門学生に向けた心理学実習科目の開発を行ってきました。総合教育科目での心理学実習は全国的にも例がなく、心理学や統計学の知識をほとんど有しない学生を対象に、いかに関心をもって取り組んでもらい、心理学的・科学的な態度を身につけ、論理的なレポート作成に繋げるかをテーマに新しい試みを展開してきました。対象が非専門学生であることと、文系学部の1、2年生が中心であることから、実習の進行や結果の処理法については直観的に理解しやすいように工夫しました。例えば、従来型の実習テーマを一般に入手可能なタブレット端末を用いて再構成したり、節電時の行動特性など、日常生活に密着した実習テーマを設けたり、学生ができる限り主体的に、実感を伴って取り組める学習環境を目指しました。本講演では、実際の取り組みについて紹介するとともに、教員と学生の間に立ち、実習テーマの開発や学生へのインストラクション、レポート作成に関する相談役を担当した立場から、本科目における学生の反響や成果について報告します。
プロフィール
2002年慶應義塾大学文学部人間関係学科卒業、2004年同社会学研究科修士課程修了、2008年博士課程単位取得退学。専門は知覚心理学、実験心理学で、視覚を中心とした人間の知覚のあり方について研究しています。

14:50 -15:30 講演2.「物理実験テーマの開発」  阪口 真(自然セ、物理学担当)特任助教

要旨
本講演では新たに開発した物理実験のテーマとして、(1)ローレンツ力の実験、(2)虹の実験、(3)放射線の実験、(4)磁性体の実験、について報告します。電磁気学に関する実験(1)は、すでに導入されているテーマを補完するものです。この実験では直流電流が流されたアルミ棒が、磁場から受ける力を、電流値やアルミ棒の長さを変えて測定することで、磁場中を運動する荷電粒子が受けるローレンツ力について学びます。特に、電磁石を使う従来の実験と違い、近年安価で入手できるようになったネオジム磁石を導入することで、実験構成を簡明にしました。(2)では「虹はなぜできるのか?」という身近な疑問を取り上げ、2種類のレーザー光のアクリル中での屈折率を測定することで、光の波長によって屈折率が違うことを学びます。(3)では、福島原発事故により関心が高まった放射能と放射線について学びます。γ線がNaI(Tl)シンチレーターに入射するとそのエネルギーに応じた数の電子が発生します。これを光電増倍管で増幅して得られる電流の値はγ線のエネルギーに比例します。実験ではある電流値巾ごとにバルス数を計測することで、その電流値に対応したエネルギーを持つγ線が入射したことが分かります。最後に(4)ではモーター、変圧器や磁気テープなどに使われている磁性体に関する実験です。コイルが巻かれた様々な磁性体内の磁場を検磁計を使って測定することで、磁性材料の特性を学びます。
プロフィール
大阪大学理学研究科で博士(理学)を取得の後、国内外の様々な研究教育機関で研究を続けてきました。専門は素粒子理論で、超ひも理論に基づいて重力を含む自然界の4つの力の統一を目指して研究しています。

第二部

15:40 -16:20 講演3.「化学実験テーマの開発 」  小畠 りか(自然セ、化学担当)特任助教

要旨
開発した3つの実験テーマと,ビデオ作成について報告します。中和滴定は,これまでにも学生実験が行われていましたが,内容を変更し,指示薬の種類を増やし,さらに可視吸収スペクトルの測定も盛り込みました。定性的な実験が多い中で,極めて定量性を求められる操作は難しすぎるかと案じていましたが,逆にその点が印象深かったという学生もいたのは嬉しい誤算でした。自然放射線の測定では,放射線測定器を用いての実験の他,サイコロを使って原子核崩壊をシミュレーションさせました。学生実験を行ったのが東北地方太平洋沖地震の二ヶ月後であっただけに,学生の関心も非常に高いものでした。3つ目のテーマである無電解メッキによる鏡の作成とフォトレジストは,来年度の実施を予定しています。ガラス板の両面にニッケルをメッキし,片面に紫外線で物性が変化する試薬(フォトレジスト)を塗り,描いてもらった好きな絵をマスクとして紫外線を照射し,絵のついた鏡を作成するという趣向です。きれいな鏡を作成するための条件確立には,何度かの予備実験が必要でした。手順が比較的煩雑であるために,実際の学生実験では普段以上に注意を要すると思われますが,うまく作成できた鏡は,学生の興味を引くと期待しています。また,補助教材として,短めのビデオを複数作成しました。実験における一般的な注意事項や,器具の使い方が主な内容です。その一部を紹介します。
プロフィール
慶應義塾大学理工学部化学科卒業。専門はケミカルバイオロジー,博士(理学)。ブリストル・マイヤーズ研究所株式会社,北里研究所勤務を経て,米国ジョンズ・ホプキンス大学に博士研究員として留学。帰国後,医薬分子設計研究所に勤務の後,慶應義塾大学理工学部化学科の助手,物理学科助教を勤めました。2011年2月から慶應義塾大学自然科学研究教育センターに所属。

16:20-17:00 講演4.「GPがくれた教育への扉」 大久保 奈弥(自然セ、生物学担当)特任助教

要旨
教育とはどのようにあるべきか?この問いを考える人の数以上に、答えは存在します。しかし、私の頭の中では、GPの特任助教として着任するまで、その問いを考えることもありませんでした。着任直後、カルチャーショックとまでは言いませんが、実習で学生にどう教えるかということについて、会議で詳細に議論する様子に大変驚いたことを覚えています。私は、生物の保全を目的として、サンゴの繁殖や発生といった生物学だけでなく、経済学者と一緒に、海洋生物を守るための社会的仕組みについても研究しています。科学的データの蓄積は必要ではありますが、保全にとってより重要なのは、科学的知見から得られた生き物の面白さや大切さを人々に伝え、人々が大きな不利益を被ることなく、その生き物を守りたいと思ってもらうことだからです。齢七十五にして、今も現役の研究者であり登山家でもある恩師に、「そもそも、自分が面白いと思う研究でなければ、相手も面白くない」と言われたことがあります。これは、相手に面白さを伝えられた時に初めて生きてくる言葉です。科学的データの面白さをどう相手に伝え、理解してもらうか、GPで先生方から学んだ様々な経験についてお話ししたいと思います。
プロフィール
東京工業大学大学院生命理工学研究科 博士課程修了。専門は保全生物学で、サンゴの繁殖と発生、海洋生物を保全するための社会的仕組みなどを研究しています。

17:00-17:10 閉会のあいさつ 大場 茂 (自然科学研究教育センター所長)


イベントについて

参加対象は、慶應義塾教職員をはじめとして、他大学等の教育関係者を想定しています。学生、大学院生、ならびに一般の人も参加できます。なお、会場準備の都合上、学外の方は事前の申し込みをメール(センター事務局宛て)でお願いします。


問合せ先:慶應義塾大学 自然科学研究教育センター 事務局 (日吉キャンパス来往舎内)
〒223-8521 横浜市港北区日吉 4-1-1
Tel: 045-566-1111(直通) 045-563-1111(代表) 内線 33016
recns_mailaddress

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